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2019 陸路でミャンマー経由タイからインドへ
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陸路でバンコクからコルカタ+アルナチャルプラデシュ
24日目 ジロ(シイロ→ハポリ→ホン→ビイリイ→ミューダンテージ→オールドジロ→ブラ→タージャ→ビイリイ)
アパタニ族の人々と同じ朝食をとお願いしたところ、おかゆと豚肉の茹でたものが朝食に出た。おかゆには味を付けておらず、おいしい。
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昨日シイロ村は十分に見たので今日は他の村に泊まってみることにする。この辺りで一番大きな村はホン村で、シイロ村もホン村から分岐した村だという。ホン村にもいくつか宿泊施設があるようなので荷物を持ってホン村まで歩いていくことにした。しかし、ホームステイのおじさんが、ホン村の近くまで車で送るよと申し出てくれたので、お言葉に甘え、送ってもらうことにした。
歩き始めたのはハポリの北端、正面にはもうホン村が見えている場所だ。
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ホン村に入ると竹垣が続く。本当に竹の利用が盛んな土地だ。竹林の手入れがいきわたっているのが竹垣越しからもよく分かる。
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日の丸のような旗が各所に掲げられている。アパタニの人々の伝統的な信仰にもとづく旗で、ドニポロ(Donyi-Polo)と呼ばれている。
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店先などに設置されているゴミ箱も竹を編んだもの。
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住宅地を通り過ぎると田んぼで土手の改修をしているおばさんたちがいた。この辺りは日本と同じでコメは年に一度採れるだけ。冬の間は農閑期なので、家屋を建てたり、道路や土手を修理している人々が多い。近づいてみるとおばさんたちは、入れ墨にノーズプラグ姿の方々である。
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日焼けで顔のしわは深いが、もしかしたら40代の人でもノーズプラグをしているのかもと思われるほど、動きは軽快だ。
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しばらく見ていたら、休憩時間となった。我々にも水やお茶をふるまってくれる。写真も快く取らせてくれる。
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ビリー(インドの葉っぱで巻いたたばこ)を吸っていたおばさんは、カメラに顔を突き出し、本人も見ていた人も大爆笑。
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私と一緒に写真に納まりたがり、泥だらけの手を肩に回してくるおばさん。本人がうれしそうなので、私も泥など気にせず肩を組む。
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皆さんニコニコで、写真大好き。デジタルカメラのモニターをのぞいて大喜びだ。ホームステイのおじさんから昨夜聞いた話をふと思い出す。入れ墨とノーズプラグが自らを醜く見せると思っているなら、大喜びで写真撮影を受け入れたりはしないはず。おじさんのいっていた通り、彼女たちはかわいく見せようと痛みに耐えて入れ墨をし、ノーズプラグをしたに違いない。自分達の伝統を誇らしく思っているんだと強く感じる。
休憩が終わって今度は田に残った藁を燃やしだした。灰が飛んでくることもあり、彼女らに別れを告げ、村の中心部に戻る。
建設中の家にお邪魔する。床も壁も天井も全部竹だ。竹と竹を結んでいるのも竹を割いて作った紐である。
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竹の上に腰かけ、休んでいる女性達。先ほどの体験で彼女らが入れ墨とノーズプラグに誇りを持っていると確信できたので、声が掛けやすくなり、写真も撮りやすくなった。
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通りがかりのおばさんは良く見ると肌はつやつや。年齢を聞いてみたくなるところだ。
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休憩を終え、おばさんたちは、重い石をかごに入れて、家の建築現場に運び始めた。すごい重労働!
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ホン村も十分に見たので、先に進む。ビイリイ村まで来たところで、インターネットで目星を付けていたホテルに行ってみる。新しくきれいなホテルだが、お客さんはほとんどいない様子。定価2800ルピー+12%の税金の部屋を税込1500ルピー(2400円)にしてくれるというので即決。隣にもう少し安そうな宿があり、この村には他にも宿があるのは分かっていたが、ジロの残り2泊はここに泊まることにする。
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荷物を置いてひと休み。昼を過ぎており、ホテルで食べることも考えたが、外でとることにして出かける。すぐ近くで賑やかな青空市が開かれていた。客は地元のアパタニの人ばかりだが、売り子はインド系の人々。食事のできる店も出ていたが、アパタニの食事がしたく、先に進む。
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市場で買出しをし、重い荷物をしょったおじさんが、前髪をまげのように縛っていた。この辺りの習慣だそうで、事前にインターネットでも写真を見ていたが、実際にあったのはこの人だけ。季節的なものなのか、習慣が廃れていっているのかは分からず。
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メインロードに面したミューダンテージ村にも食事場所がなかったので、ミニバスに乗ってオールドジロ村へ進む。こちらは食堂は何軒もあるし、店も並んでおり、ハポリに次ぐ町だといえる。しかし、いざ食事をしようと探すと食堂をやっているのはインド系の人ばかりで、メニューもプリとかロティとのみでライスさえない。メインストリートにある店を片っ端からチェックしたが、アパタニの人が運営している店は一軒のみだ。その一軒もアパタニ料理というよりは、チベタン料理系である。インド系よりは良いので、アパタニの人の店に入り、ハーフサイズで4品、フライドモモ、チョウメン、フライドライス、トゥクパを注文する。ハーフサイズでも思ったよりも多く、お腹いっぱいだ。
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レストランに来ていたタギン族の女の子が話しかけてきた。隣のダポリジョ県がタギン族の土地であり、彼女らの出身地もダポリジョ。ジロで寄宿舎に入り高校に通っているという。アパタニ語が母語でない分、英語が達者になっているのか、英語がペラペラ。日本のアニメが好きで、色々とアニメの素晴らしさについて語ってくれるが、今時のアニメに関しては無知なので困った。
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今日はもう十分に歩いたから帰りもバスに乗りたいという妻と別行動し、私はブラ村やタージャ村経由で歩いて戻ることにする。車道よりも楽しいので、少々回り道になっても畦道を基本的に歩く。
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ブラ村はホン村と同じくらい大きな村で、店もいくつかある。竹垣やドニポロが目に付くのもホン村と同じ。ホン村と同じ魔除けも目に付いた。下の写真はオールドジロで妻が写した魔除け。
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タージャ村からビイリイ村にかけては何軒かホテルがあったが、どこも客が居ない様子。ビイリイ村には食事処やワインショップがあった。着いてすぐこちらに歩いていたら、オールドジロまで行かずに終わっていたかも。
夜は、ホテルレストランの薪ストーブを占領。レストランでつまみを2品注文し、外で買ってきたビールとウイスキーを楽しむ。それにイタナガルで買った納豆をストーブで炙って、ゆったり。
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ちなみに、隣のホテルはお酒を出しているが、こちらは出していない。もともと隣のホテルを経営していたオーナーが、お酒でお客がトラブルを起こすのが嫌になり、このホテルを建て、隣を売り払ったのだそう。