2人の世界旅 日々の記録

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アフガニスタン>2011年06月30日(Thu)
★イシュコシム→ワハン→イシュコシム
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■優しい人々
「アフガニスタン」って、長年、報道から得られるイメージが、悪い方向に固まってしまっている気がします。タリバンとかビンラディンとか外国人誘拐殺害とか、そういうフィルターを抜きにして、人、文化的なアフガニスタンはどんなところなのか、書いてみましょう。

地図を見ると、標高の高い地域が連なっているのが分かります。標高500m以下の低地などごくわずかで、2000m級の高地はザラ、3000m級のところにも人が住んでいます。アフガニスタンは「山地の国」と言えるのです。ここがアフガニスタンの大事な基礎となります。

西に行けばメソポタミア、東や南に行けばインダス、北はシルクロードの大動脈・・・、それらの影響を受けてきながらも、世界を席巻する巨大な文化文明は作られなかった。山岳地帯なので。

・・・インド(パキスタンも昔のインド)から見たら、北西の山奥の田舎モン。
・・・ウズベキスタンやタジキスタン、トルクメニスタン(昔のソ連)から見たら、南の山奥の田舎モン。
・・・イランから見たら、東の山奥の田舎モン。

アフガニスタンは英国(当時のインドを支配)とソ連(当時の中央アジアを支配)の緩衝地帯でもありました。南北の勢力の中間地点となっていたのは、立地的に「山奥の、田舎モンの国」ですから。大雑把だけど「アフガニスタンとは」を語るにあたり、幾分かは的を得ている表現ではないかなと思います。

でも、どの国を旅しても「田舎モン」の方が、人が素朴で伝統文化が残されていて、人が優しいものです。日本でだって、渋谷でクレイジーギャルを見ながら歩くより、安曇野で蕎麦をすするほうが日本文化を知る旅としては楽しいでしょう。アフガニスタンはイスラム教徒主体の国なので、外から来た人には一層優しい。だから、私はイシュコシムに来て良かったと思ってる。

もしヘンに今時期の首都カブールなどに行っていたら、拉致や襲撃や自爆テロに怯えて、人々と触れ合えなさそうだもの。「ごはん食べたらすぐ宿に帰ろ」ってなっていたと思います。なお再度書きますが、アフガニスタンでの拉致誘拐殺害あるいは爆弾テロ等の件数は、2010年、年間最高値を記録。今年2011年は、まだ1年が終わっていないので最終集計値は来年にならないと出ませんが、現時点での中間集計値ですでにその最悪の2010年を上回る、破竹の勢いで治安が悪化しています。外国人は次々誘拐され、しばしば遺体となって確認される。そんなときに治安が悪いところに行ってはいけないし、行っても絶対楽しめない。

悪いイメージが幾重にも重なり、アフガニスタンの素顔が知られにくくなっているのが現状ですが、本当は、基盤にあるのは、世界でも筆頭の「人の良さ」が広がる「山奥の、田舎モンの国」・・・その典型的な姿を、エキゾチックな伝統衣装をまとう人々の歩くイシュコシムで、存分に実感できるのです。

ああ、今日もイシュコシムを歩きたい!
カメラとメモとペンと、少しのダリ語会話用語メモを持って、いっぱいアフガニスタンを歩きましょう!
ちなみに昨夜の宿の夕食のアフガン料理が美味しかったので、今日は午後5時に台所を見せてもらう約束をしています(*^-^*)

朝、ガバメントオフィスで外国人滞在登録を済ませました。宿に来ていたガイド青年が描いてくれた出来の良い「イシュコシム手描きマップ」を持って、カジデ村の方向へ歩き始めました。途中学校を見学させてもらいました。村の風景も素晴らしいです。雪山が青空に白く浮かび上がり、豊かな緑と農耕の大地。農耕を得意とするのも、ペルシャ系の人々の特徴です。「遊牧と移動のトルコ系」(モンゴルから中央アジア)と対照して「農耕と定住のペルシャ系」(イランからタジク)とはよく使われる表現。村の谷底を流れるイシュコシム川から、その自然の水圧を使って上手に用水路をひき、きれいな水が生活用水・農業用水、家畜の飼育用水としてゆき渡っています。

更に驚いたのは、その用水路を流れる水を人工的に落下させるときの水の勢い利用して、小麦を小麦粉に変えるための巨大な石臼を回していることでした。石臼ハウスの中は空中小麦粉だらけ!

途中であった少女の、民族衣装もステキでした。

アフガニスタン

もっと先まで歩いてみようと思ったら、通りすがりのおじさん登場。

「我が家でお茶を飲んでいかないか」
「わー! ホーバスト!タシャクル!」(素敵!ありがとう!)

美味しいお茶に、お茶請けに、ノン(釜焼きの薄いパン)。実はこうしてお客さんを家へ招くのも、アフガニスタン人の文化なのです! 壁にはマスードの小さなポスターが貼ってありました。ソ連のアフガニスタン軍事介入のとき、ソ連からアフガンを開放した指導者で、その後の北部同盟の対タリバンの英雄でもある。彼は、ここの人々とおそらく同じ、タジク人なのです(タジキスタン人という意味ではない、アフガニスタン人の中の一民族としてのタジク人)。

√ ボロロン♪♪ √ ジャララララジャカジャカジャカジャン♪♪

わ! 外から弦楽器の音が聞こえたきたよ!? そして音色は近づき、なんと「ダンブラー」という伝統楽器を奏でながら近所のおじさん登場! きっとこの家に外国人の客人が入ったのを知り、歓迎の演奏を披露しにきてくれたのです。


いったん宿に戻りました。少し部屋で休んでから、また観光に出ましょう。

和人:「折角トレッキングで有名なワハンがあるのだから、自然を歩きたい」
あづさ:「折角アフガニスタンに来たのだから、人と文化が集まる町を歩きたい」

というわけで意見乖離!ふふ。

あづさは町に出ました。しかーし、イスラムの国っていうの、忘れてた~~あああ。女性の1人歩きを見るとオヤヂたちがついてきてたまらない(笑) これは成人版ハメルーンの笛吹き(笑) 軍人は軍靴をガッガッと鳴らしてライフル銃構えてあづさについてくるし、庶民はアフガン服でサンダルペタペタ鳴らしてついてくる。お陰で大行列です。そうしてポリスも軍人も何人も連行して、ゼボック行きのトランスポートについて質問しました。誰とも英語が通じない中、丁度油を売っているポリオくん(昨日入国イミグレーションでポリオワクチンを持ってきた色男)がいたので、彼を通訳にして、質問完了。ゼボックについては後日の日記に登場します。

ただ、女性1人歩きの場合、町の女性を割と気兼ねなく写真撮らせてもらえるのが良いですね。和人1人でも、和人と2人でいたとしても、かなり難しいことです。

バザールとその周辺も大方歩いたので、昨日遊びにいったシャイモちゃんちに行きました。昨日道で偶然会った高校生くらいの少女なのですけれど、可愛くて、家にも私たちを招いてくれたのです。

そして夕方は5時、約束の時間に、宿のオーナーの自宅へ。自宅では宿泊客と家族の分の食事を大鍋で作っています。アフガニスタンの炊き込みご飯「パロウ」に、肉の煮込み「グーシュトゥ」、ヌードルスープ「オシュ」、など。料理名は全部イランと言い方が同じで、同じ文化圏なんだなぁと、しみじみ実感します。作り方はしっかりメモしましたし、「テキトーに塩とかトマトを入れている」そばから味見をさせてもらったので、途中の塩梅も大丈夫。ヤッター!これで家でアフガン料理作れるねっ(*^0^*)



今日のアフガニスタンの町歩きの感動は、以前、その治安情勢の下調べに同様に苦労を重ねて、踏み込んだ、イラクの旅(≫こちら)と、とても重なるものがありました。


今朝私たちに手書きマップを描いてくれた青年は、アフガン内戦時にパキスタンへ一家で疎開し、アフガニスタンに戻る際、「平和なアフガン」であるイシュコシムを選んだそうです。ここには、アフガニスタン各地から、死を恐れ、平和を求めてやってきた人が少なくない。だから国境近くの田舎なのに、アフガン各地から人と文化が集まって、狭い地域でも「大きなアフガニスタン」が形成されているのだろうと思います。

この町の人々は素敵です。
生きるか死ぬかを経験して優しくなった人は素敵です。

戦争の苦しみと共に生きる人々は、「様々な痛みが分かる人」は、本当に皆優しいの。
本日の旅
行動 :イシュコシム観光
朝食 :ノン(薄いパン)、トホマ(ゆで卵)、マロイ(クリーム)、アサル(はちみつ)、コーヒー/宿
昼食 :ノン、チョイ(お茶)、あめ/民家のおじさんち
夕食 :コカコーラ、パロウ(トマト油ピラフ)、オシュ(パスタ入りトマトスープ)、グーシュトゥ(チキントマト煮)、ノン、タルブーズ(スイカ)/宿
宿泊 :パミールマルコポーロゲストハウスPamir Marcopolo Guest House
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旅情報
1アフガニー=2円

*小さなダリ語(食事&観光)
こんにちは(初発) --- サラーマレイコム(本当はアッサラーマアレイコムだけどアは強調されない)
こんにちは(返答) --- アレイコムサラーム
これは何ですか --- インチャースト?
美味しい --- ボーマザー
Good、Nice --- ホーバスト
Very Good、Very Nice --- ベシュヨホップ
この名前は何ですか --- ノームイシュモチ?
美しい --- カシャング
友達 --- ドゥーストゥ
ありがとう --- タシャクル
幸せです --- マンフショオールアスタム
少しだけ --- カムカム
Yes --- バレ
No --- ニェイ

*Wikipedia-アフマド・シャー・マスード
http://ja.wikipedia.org/wiki/アフマド・シャー・マスード