2人の世界旅 日々の記録

4年3ヶ月、1日も欠かさず綴った旅日記
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イラク>2009年03月13日(Fri)
ワン→ハサンキフ→ミディアット→シロピ→キャプル国境→ザホ国境→イラク人の車(→アルビル)
:: 旅673日め : 世界旅100ヶ国め : 和人217ヶ国め : あづさ119ヶ国め ::

■2人の世界旅100ヶ国目、イラクへ
トルコ南東部の町ワンVanを朝9時に出発、峠を何度か越え、乗り継いで、イラク国境の町シロピSilopiに到着したらもう日没です。

到着したバスターミナルで、「ザホザホ」と声をかけられました。ザホZakhoとはイラクに入ってすぐのところ、この呼びかけは、「ザホに行く車があるよ」という意味です。

「ザホザホ」

イラクへの、誘いの言葉。

私たちは、この世界旅100ヶ国目となる、イラクへ向かう乗り合いタクシーに乗りました。乗客は私たち2人と、イラク人2人。

ちなみに、イラクと一言で言ってしまうと、「行ってはいけない地域」という印象もあるでしょうし、人によっては、拉致とかテロとかいったイメージを強く抱く人もいることと思います。

でも今回渡航に踏み切ったのは、それらとはちょっと違う、イラク内でも「クルディスタン地域」と呼ばれる、トルコに近い地域です。ここはイラク北部のクルド人の住む土地で、イラク中南部のアラブ人地域とは一線を画しています。つまり、クルド人地域だけで自治権をもつことが、認められ、イラク本体の入国ビザが取得困難な状況下にある現状でも、クルド人地域であれば、クルディスタンビザを国境で取得するだけで入国できます。

何より、クルディスタン地域は、緊張の中にも平和な光が差し込む地域・・・。

私たちとイラク人を乗せた乗り合いタクシーがイラク側ザホ国境に着くと、全員「Passport Saloon(パスポートサロン)」と書かれた部屋へと通されました。ここで取るビザは無料なのが良いですね(^-^) しかも、「サロン」という名のつく通り、ビザ手続きを待つ間、全員にイラキチャイ(イラクの紅茶)がふるまわれました。やるじゃんイラク(*^.^*) こんな素敵な国境、今まで体験したことありません♪

さて、乗り合いタクシーの終点は、ここイラク側国境でした。ここから先のザホの町へは、別のタクシーで行かなければなりませんが、明らかに高すぎる料金設定(12km走って7USドル)に、ちょっと乗る気がしなかった頃・・・

ちょっと体格がいいおねーさんが1人、駐車場で友人待ち。
シャヒンさんというおねーさんに、あづさが「どこ行くんですか」って聞いたら「スレイマニアよ」と言います。スレイマニアSuleimaniyaはイランに近いところにあるクルディスタン地域の一県都です。ダメモト半分で、「もし良かったら乗せてくださーい」って言ってみたら、「いいわよ」っていう快い返事をもらいました(*^-^*)

そもそも国境を越えたのが日没後ですから、シャヒンねーさんの友人到着を待ち、出発したときは、もう夜10時前。

途中から、天気が崩れ、雨足が強くなり、外は嵐となりました。
夜もずっと運転を続ける2人。
私たちは後部座席で交代で仮眠。


深夜2時をすぎると、外は目も当てられない大嵐となっていました。
それでも、意外なことに、外は超近代都市に舞い込んだかのような車窓風景・・・、眠くて朦朧としながら、体を斜にしながら窓の外を見ていたら、闇の中を、ピンク色のUFOのような丸い明かりが次から次へと流れていくのです。・・・後から思うとそれは多分外灯です。でも、そんな瀟洒な外灯が連なるなんて、先進国でだって見たことありません。ドラえもんのふるさと(※22世紀の未来都市)に来たかのような灯りに見えました。

緊張すべきイラクへの初めての移動の印象が、嵐の中で遭遇した、近代都市の様相。
今思い起こしても、ピンクのUFOが無数に流れるあの夜の光景が、忘れられません。


私たちを乗せてくれた2人は、はじめは、夜中運転してスレイマニアまで移動を完了するつもりだったのですが、天候のせいで、朝4時になってもようやくアルビルErbilに着いただけ。そして2人は、私たちのための宿探しをしてくれ、アルビルでお別れとなりました。

宿と値段交渉をし、部屋に入ったら、もうすぐ日が昇る時間になっていました。
嵐の中でエンコした車を押したりし、何度かずぶ濡れにもなってしまったため、とても体力を消耗してしまいました。
そういえば今日の出発地はトルコのワンだったっけ~、なんだか、ワンにいたのがとても昔のことのようです・・・。

眠ろうにも朦朧としてしまう中いつの間にか日が昇り、宿の窓から見えるはイラクの道しるべ。

イラクの道

「キルクーク」に「バグダッド」、この文字を見て、イラク入国と緊張を実感し、今日から始まるイラクの旅に、何というか、やる気が出てきました。
本日の旅
行動 :ワンからアルビルへ移動、トルコ出国、イラク入国
朝食 :エクメク、太ソーセージ、ペイヌシュ(チャイブ入りチーズ)、レモンティー、紅茶/宿
昼食 :なし(移動に食事休憩がなかった)
夕食 :シュークリーム/イラク人姉さんの車の中
宿泊 :ゼイトゥナホテルZaitona Hotel

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旅情報
1トルコリラ=56.5円
1イラクディナール=0.0847円

*イラク北部国境で取るクルディスタンビザ
イラク北部クルド人地域は独自のビザを出しており、旅行者でも問題なくビザが取れる。入国の拠点はトルコ南部のシロピ、そこからイラク側ザホ国境へは乗り合いタクシーで。タクシー運転手が出入国手続きをすべて手伝ってくれるため、心配は要らない。イラク側国境では10日間無料ビザを発行している。荷物検査等もなし。美味しいイラキチャイ(イラクの紅茶)をサービスしてくれる、とてもなごめる国境だった。
なお、クルド人居住地区であっても、モースルやキルクークなど、イラク中央政府に抑えられている地域への渡航はこのビザでは無理。よって、イラククルディスタン地域からシリアやヨルダンへの国境越えもできない。私たちの訪問の少し前くらいから、クルディスタンビザでイラク中央政府管轄地域へ立ち入った場合は旅行者でも逮捕するとの通達が出たため、くれぐれも慎重に行動してください。
クルディスタン地域とはいえここはイラク。まだまだ旅行者を受け入れる体制ができておらず、実際旅行者も極めて少なく、情勢は流動的であるので、情報収集は英語サイトも使って執拗に行ってください。