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■憧れの、客家土楼
福建省に来ています。憧れの、客家土楼の旅。
昔中国の中心から、戦乱を逃れるため、南東部の今で言う福建省や広東省に移動してきた人々がいます(福建が大多数)。どこに移動してもお客さん、それが語源となり、今も彼らは「客家(はっか)」または「客家人」と呼ばれています。民族区分上は中国人の最大多数民族である漢族(漢民族)と区別されませんので、身分証明証を見ても誰が客家かなどは分かりません。
でも、彼らには、今も伝統を受け継いで暮らしている人がいる。その客家文化の最たる1つが、巨大集合住宅である「土楼」ではないでしょうか(※)。
永定駅で下車したのはまだ朝4時台でした。時間が時間なので、乗り過ごさないよう、車内では緊張していましたっけ。真っ暗な中ですが、駅前に荷物を持って降り立つと、洪坑(ホンケン)村の客引きおじさんが声をかけてくれました。市バスで行こうかどうしようか迷いましたが、外は暗いし、1人20元(260円)で土楼のある村まで送ってくれるし、少し英語ができる香港人2人組も一緒だし、その車で洪坑へ行きました。結果から言えば、客引きの車に乗って良かったです。洪坑村の土楼は世界遺産登録された物件です。旅行者としては、世界遺産への訪問に夢見る気持ちがあるもので、世界遺産になっていない土楼よりは、世界遺産の土楼を見てみたい。
福裕樓という土楼の、4階が私たちの部屋。旅行者が快適に滞在できるよう、水道や電気をひいたりする整備はされていますが、巨大な木造建築物の古き良き趣は失われていません。階段のきしむ音、平安祈願?の中国風情あふれる赤ちょうちんが随所に吊るされ、天井の梁も見事です。
時々小雨が降りますが、観光に出ました。洪坑村には幾つもの土楼があり、1つ1つ、サイズや形が違います。普通、観光地で雨に降られることは嫌なことであるはずなのに、何故でしょう、この悠久の歴史を感じる客家土楼には、まるで水墨画のような雨景色が似合うのです。
最大の見所は「土楼のプリンス」と称えられる「振成楼」。大きな円形の土楼です。中を歩いているとおばさんが「5元で上に上がれるわよ」と言われます。住民が旅行者からちょこちょこお小遣い稼ぎをしているのですね。そうしておばさんの案内で上に上りました。
そして、素晴らしい中国の遺産に、素晴らしい眺めに、ずっと見とれていました。
数百世帯の家が集まる巨大住居建造物。
郷里の戦乱から逃れ、移動してきた人々は、当時はどんな思いでこういう家を考案したのでしょうか。
家の出入り口は必ず円の内側にあります。外はのっぺりとした土の壁。
「どこに行ってもお客さん」、言い換えれば、どこに行っても自分たちの結束で生きてきたのでしょう。1つの小さな出入り口だけ作り、外を賢固な土壁にしたのは、戦や盗人から自分たちを守るため。
土楼の中では、おばあちゃんが筍を干したり漬物を作ったり、おじさんおばさんが寺へお参りをしたり、昔ながらの暮らしが今も続いています。
福建省の、客家土楼。
かつて抱いた憧れが薄れることなくずっと今日まで続いたのも分かります。本当に、素晴らしい。
本当に来て良かったです。最高です。
(※なお、土楼は福建省と広東省にまたがって分布しており、更に世界遺産「福建の土楼」として登録された物件がその一部、そして土楼には客家人の土楼とそうでない民族が作った土楼とが混在していることを、末尾に追記しておきます。)
本日の旅
行動 :永定で列車下車、洪坑へ移動、客家土楼観光
朝食 :スポンジケーキ2種、中国茶/宿
昼食 :梅菜扣肉(メイツァイコウロウ、豚各煮と梅菜の漬物の重ね蒸し)、芥菜(ジエツァイ、太い茎野菜の炒め物)、米饭(ミーファン、ごはん)/洪坑の食堂
夕食 :醋溜大白菜(ツーリューターバイツァイ、白菜の酢炒め)、青椒炒肉(チンジャオチャオロー、ピーマンと豚肉の醤油炒め)、米饭/宿
宿泊 :福裕樓客棧(フーユーロウクーザン)