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■中国を見て、食べて、駆ける!-15/15[現在地:内蒙古自治区]
現在、中国北部の、内蒙古自治区。「内モンゴル」とも呼ばれるところで、モンゴルと接しているところです。というよりも、中国によってモンゴルが分断されてしまった、南の片割れ。
町で見かけた、多量の石炭搬送車。内蒙古は恐竜の化石が出土することで知られます。こういう化石燃料も多いのでしょうね。
今日の日記の見出しは「中国を見て、食べて、駆ける!-15/15[現在地:内蒙古自治区]」。
台湾から中国大陸に戻り、モンゴルへ行くまでに与えられた日数は15日。今日がその最終日です。これまで、実に密度の高い濃厚な旅ができたと思っています。
「中国八大料理」の探求をテーマにしようと決めてから、「何をもって八大とするのか」から調べ、それが漢民族主体の省ごとの料理であることに気づき、その8つの省をできるだけ訪れるようなルートを組みました。15日間で8省全部は無謀ですから、後日にまわすところも出てきましたが、「台湾から戻ってモンゴルに行く過程でないと訪れにくいところ」が4省。安徽省、浙江省、江蘇省、山東省。この4つは絶対今回の15日間のルートに組み入れなければなりませんでした。1箇所に滞在して食事を楽しむだけに徹するならば簡単なことだけれども、広い広い中国を主に列車で移動する日々も繰り返しながら、観光もして食文化探求もするのでは、本当に厳しい15日間だったのです。
中国八大料理めぐりの探求を提案してくれたのは、和人でした。
あづさの旅の楽しみを考慮してくれたことと、また和人自身が中華料理が好物であることが、このような旅の発端になったと思います。だから「中国の料理を美味しく作れる奥さん」になりたくて、あづさも頑張りました。
どこにどんな料理があり、どんな民族がいて(って、今回のルート上はほとんど漢族なんですけど)、どんな歴史があって、どんな作物が採れるのかなど、時間の許す限り、調べて調べて調べまくりました。
思い描く料理を必ず得られた訳ではありません。食堂に入ってメニューを見た中から、「これ」と思うものを予習した脳で選ぶだけ。ないものねだりはできません。
注文をしたら、メニューを全部写真に撮る。あとでゆっくり食堂メニューを見比べたら、如実に地域性が表れると思うから。もしお店の雰囲気を見て、厨房を覗かせてもらえそうならば、お願いをして厨房に入れてもらい、写真やメモをとったりもします。
中華料理は調理が強火でクイックリー。だからあれこれしているうちに、もう料理が卓上に並び始めます。早く食べたい和人の有言プレッシャーの中で写真を撮ります。ISO、EV、ホワイトバランス、コントラスト設定(各数十段階ある)からコレと思う設定値に即座に決めて写真を撮るのですが、特に暗い室内や色ライトの場合、料理の色を忠実に再現する設定を一発で決めることが、本当に難しかった。「料理の写真」は他の写真要素と違う点があり、明るく撮らないと美味しそうでないし、明るく撮ると詳細部分が飛んでしまう。とまあ難しいんです。でもこんな百戦錬磨のお陰で私の写真の腕は上がっているのではないかと思います。
食べるときは、含まれる材料や形状、味の感想、予測される調味料の分量や調理法を書き留めながら食べていきます。どうしても調味料などを知りたい場合は、必殺「○○的做法、什么?」・・・ぶっきらぼうですが、「○○の作り方は何!?」と聞いてしまう。で、言ってもらったり、紙に書いたりしてもらう。そうそう、忘れずに、その料理名や調味料名を読み上げてもらって、発音をカタカナで書きとめます。「現場主義」ですから、そこにいる人の発音は何にも替えられない宝物情報です。
宿に帰ってからがまた大変。お勉強の嵐です。
食べた料理名をノートに書き、読み上げてもらった料理名カタカナを書き、ピンイン(dong1po1rou4みたいに中国普通語の発音を表す英数文字)と簡体字(東を东と書くような中国標準文字)をネット辞書で調べて書きます。更に、「百度」(中国最大の検索サイト、中国語)で料理を検索して、中国語だけのサイトであろうが構わず食いついて読みます。その料理の特徴や作り方や歴史、菜系(地域性)などを調べてダウンロード。日本語と英語でも同様の検索をして、ダウンロード。自分の食べた体験との整合性が大体取れるまで続けます。情報の良い順に、中国語≫英語≫日本語。これは意外でした。「日本は中華料理の文化が浸透しているから、中華を知らない欧米人の作る英語サイトよりは日本語のほうがまともな中国料理情報が得られるだろう」と思っていたら、日本語の情報は全然なってない、ダメダメでした。英語のほうがきちんと中国料理を語れています。日中の文化の近さに驕っていたのだなと、我が身を反省しました。
さて、そうして中国の料理を調べていくと、料理の背景は必ず歴史か地理か政治の背景にぶつかるので、分からないことを和人と2人で談義したり調べたりして、世界史と地理学と政治学のプロフェッショナルに近づいていくわけです。
人が1日に食べる料理の数は多い。日数が多いと食べる料理の数は膨大になる。
でもあづさは、自分がやると決めたことだから、絶対最後までやる。上に書いたピンイン検索と中国語サイト読解以外ならば、今までの4年以上の世界旅でずっとやってきたことなのですが、今回は料理名を正しく知るためにピンインを調べ、中国語のサイトを読むために中国語の勉強もしたので、なんだか、旅の全エネルギーを中国の勉強に注いだ感すらあります。
こうなることを予測してまでも中国八大料理の探求を提案してくれた和人には、本当に感謝しています。ありがとう。本当に有意義です。本当にありがとう。何よりこの15日間、各省の名料理ばかり食べてきて食べすぎも否めないですけれど、今日無事に、食文化の乏しいモンゴルに入ったので、頑張り続けた胃も、頑張り抜いた脳も、ひとときの静養となればいいなと思います。そして将来は必ずや「中国の料理をちゃんと作れる奥さん」になりますので、楽しみにしていて下さい。
さてさて。
中国15日目の今日は、バスに乗って国境越え。モンゴル側国境を越えてザミンウードゥ駅。国境を越えた多くのモンゴル人が、一斉に夕方発の夜行列車に乗り込みます。中国の列車と違い、車体がロシア式。車内には、物価の安い中国から大量の商品を担ぎ込むバイヤーとその荷物で溢れていました。
17時半、モンゴルの首都であるウランバートル行き夜行列車が出発しました。今からいよいよ夏を迎えるモンゴルでも、充実と満足のある旅になればいいなと思います。明日朝9時頃ウランバートル到着の予定です。
本日の旅
行動 :二连浩特からザミンウードゥへ移動、中国出国、モンゴル入国、ウランバートル行き夜行列車に乗る
朝食 :奶茶(ナイチャー、塩入りミルクティー、肉包子(ローポーズー、羊肉の肉まん)、小米粥(ショーミージョ、黄色い穀物のお粥)、咸菜(センツァイ、塩漬け野菜)/二连浩特の食堂
昼食 :东坡饭(トンポーファン、豚バラ角煮丼)、炸酱面(ザージャーミェン、肉味噌きゅうりねぎ乗せ麺)、鸡蛋(チータン、目玉焼き)、清汤(チンタン、ゆで汁スープ)/二连浩特の食堂
夕食 :бантан(バンタン、肉入り小麦粉とろみ汁)、гурилтай шөл(ゴリルテイシュル、肉入り麺)/ザミンウードゥのカフェ
宿泊 :ウランバートル行き夜行列車
旅情報
1中国元=13円
1モンゴルトゥグルグ=0.066円
*中国-モンゴル国境越え
日本人が通れる中国-モンゴル国境は「二连-ザミンウードゥ」の1ヶ所のみ。列車かバス、ジープで越える。
A――B二連国境――(C国境間)――Dザミンウードゥ国境――Eザミンウードゥ駅――F
とした場合、
1)列車でA→Fをスルーで行くと、出入国手続きが車内で行えるので便利。
(例:北京発ウランバートル行き列車)
2)Cの国境間は徒歩通過禁止。
3)よって、A二連の町からB二連国境まで市バスで行き、B→Eまでのジープに乗るか、
4)A二連の町からEまでジープに乗るか
5)A二連の町からEまでバスに乗る
といった方法がある。
私たちは5で行った。