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■パキスタン人の優しさに触れる
今日はもう木曜日です。帰国間際の様々な計画立てや作業を、ここ数日していますが、今日もそうやってやることを進めていきたい。だから、おでかけしないで、1日宿で過ごそうと思っていました。宿にいても素敵な風景を愛でられますし、香しい桃の如く美味なるアンズも食べ放題、フンザの谷を堪能できるのです。
でも、昨日以上に、雲ひとつない、そして空気が澄んだ快晴の朝!
昨日も風景写真をいっぱい撮ったけれど、今日のほうが格段と素敵なので、再び朝から写真を撮りに、和人は外出していきました。
ところで昨日、哲ちゃんはパキスタン人の旅行グループと出会いました。そのパキスタン人は今日はジープをチャーターして氷河へ行くそうで、哲ちゃんは一緒に行こうと彼らに誘われているそうです。朝、哲ちゃんからそのパキスタン人に電話をかけてもらったら、和人と2人でも問題なく合流できると言ってもらえ、哲ちゃんと和人がパキスタン人の氷河ツアーに参加することになりました。氷河ツアーは、車で行けるところまで車で行き、後は徒歩。だからくつを履けないほど足の親指の炎症がひどいあづさは、和人のアドバイスにより、宿で静養することになりました。
午後、2人とも大満足の様相で宿に帰ってきました(*^-^*)
良かった、良かった、おかえりなさーい!
しかも、そのパキスタン人グループが、私たちを夕食に誘ってくれています。レストランとかじゃなくて、彼らが宿で食事を作る、その彼らの手作りディナーへのご招待。和人はあづさが調理の過程も見たいだろうと、調理開始の時刻に約束をとりつけてくれました。そして哲ちゃんもお付き合いで一緒にパキスタン人の宿へ来てくれました。
パキスタンに来て、パキスタン人と会話をするのは楽しいですね。昔パキスタンがインドだった頃、インドは英領土でした。だから今もパキスタンでは、今も英連邦加盟国ですし、公用語が英語(とウルドゥー語)です。日本語以外の言語では、やはり英語が話しやすい。パキスタン人にいろいろとその文化などを教えてもらいました。
ところで、今日は、ハラルな鶏肉(浄な鶏肉)が手に入らないそうです。よく「イスラム教では豚肉がダメ」とか言うけれど、それは正確なことではなく「イスラム教では不浄な肉がダメ」なのです。鶏肉であろうと牛肉であろうと、食肉に加工する際に所定の祈りの言葉を捧げられ、所定のさばかれ方をされた肉でなければだめ、ということになっています。・・・といいつつ、ハラルでない肉を食べるムスリムは爆発的に増えていると耳にし、実際にそれに合致する見聞も私自身が得ていますが、まあここでは触れなくていいでしょう。とりあえず、今日調理をするパキスタン人は、今日フンザで手に入る鶏肉は食べられるものではないため、かわりに豆カレーを作ると言っています。
その話を聞いて、あづさはつぶやいてしまった。
「そっかー残念、チキンカライ、まだ食べてなくて」と。
カライというのは、インド北部やパキスタンで食べられるカレーの一スタイル。パキスタンではあづさの必須項目に入っている料理ですが、いまだそれを食べる機会に恵まれていません。でもそんなことをつぶやいたら、2、3人が、「じゃあ僕が作ってあげる」・・・と言ってくれるのです!!
あづさは、ずっと厨房で作り方を見ていました。ダル(豆カレー)、チャワル(白い炊き込みご飯)そして、彼らは食べることのできない鶏肉を使ったチキンカライ。作り方の一部始終を見て、味見をさせてもらったのですが、美味しかった。インドの作り方よりもシンプルで、旨みを引き出すコツがよく分かりました。
そして、皆の食事が終わるころに登場したのが、「私たち3人のためだけの」チキンカライです。
実際は、そのチキンでも気にせず食べるムスリムおじさんも一緒に食べたので、4人で食べました。
パキスタン人お兄さんたちが作ってくれたチキンカライは・・・。
・・・ちょっとしょっぱかった。
最初は「しょっぱいねー」と言いながら、それでもガーリックやジンジャー、スパイスの利いたチキンカライを食べ続けました。
何度か会話の中で「しょっぱいねー」が出てきたときに、ハッと気が付いたのです。
彼らはムスリム。今日の鶏肉は宗教上食べられないものであった。
だから、調理の途中で、「味見が出来なかったのだ」ということに。
・・・とっても切なくなりました。同時に、感動が大きく膨れています。
今目の前にあるチキンカライが、彼らが、ゲストである私たちのリクエストのために作ってくれた。
味見もできないことを承知で、それでも一生懸命に作ってくれたものなのです。
最後に食卓に登場したくらいなので、下ごしらえや調理には時間がかかっています。
・・・ああ、ありがとう・・・
今日、人生で最高の「パキスタンのカレー」を手に入れた。
「最高のチキンカライ」は、感動に有り余る心をもつ味だった。
私たちは3人とも、彼らの心が良く分かった。だから哲ちゃんも「俺、最後まで食べます」と、すでにチャワルやダルを食べてお腹がいっぱいなのに頑張っていた。同様にあづさも和人も頑張って、全部食べきった。・・・後日レストランでチキンカライが登場した日があったけれど、やっぱり、今日のカライのほうが、美味しかったと思う。
もし和人さえ、うんと言ってくれたら、あづさは今日学んだ「彼らのチキンカライ」を -ちょこっと塩を減らして- 「自分のチキンカライの味」にしようと思う。
それは、作るたびに今日の感激と感謝を思い出せる料理となる。
「食べる人のことを考えて料理をする」という、基本的原点に回帰できる。
私は、彼らの思いを受け、これからも世界で一番美味しいカレーを作っていけるのだと思う。
「心優しさ」を教えてくれた、パキスタン人に、今日の一日に、ありがとう。
本日の旅
行動 :ホパール氷河日帰り観光、パキスタン人と交流
朝食 :サモサ(じゃがいも入り三角揚げ)、チャイ(ミルクティー)/カリマバードの食堂
昼食 :チャパティー(薄焼きパン)、ミックスサブジ(根菜カレー)/宿、チャワル(白ごはん)、ダル(豆カレー)/ホパールの宿
夕食 :チャワル(オニオン油炊き込みご飯)、ダル、チキンカライ(スパイシーチキンカレー)/カリマバードの別の宿
宿泊 :ガーデンロッジGarden Lodge