2人の世界旅 日々の記録

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モーリタニア>2007年10月23日(Tue)
★ヌアディブ→世界最長の列車
:: 旅166日め : 世界旅39ヶ国め : 和人214ヶ国め : あづさ60ヶ国め ::

■世界最長の列車、アイアンオートレイン
「iron ore」(アイアンオー)とは、鉄鉱石という意味です。
モーリタニアでは北東部で鉄鉱石が豊富に産出されるので、港町のヌアディブから世界へ向けて鉄鉱石が輸出されています。モーリタニアの大事な産業です。その鉄鉱石を運搬する列車が、アイアンオートレイン、直訳すると「鉄鉱石列車」なのです。

私たちは、モーリタニアに来たら是非この列車に乗りたいと思っていました。

でも朝起きると、和人もあづさも喉が痛く、微熱もあります。
だけど、ここヌアディブNouadhibouでゆっくりするよりも、憧れのシンゲッティChinguettiで連泊したほうが、きっと心に栄養なはず!と、私たちは今日この列車に乗って移動することにしました。

銀行でユーロからウギアへの両替をし、タクシーで列車駅に行き、・・・定刻よりもやや遅れて列車が入ってきました。

列車のヘッドの写真を撮って、続く貨車が続々とやってくると・・・「ながーい!!」 全長2kmにも及ぶことは知っていましたが、ホント、こんなに長い列車を見るのは初めてです。

ヌアディブから北東部へ進む列車は、港へ鉄鉱石を積み出した後なので、貨車がからっぽです。
1両だけ客車もつきますが、私たちは、鉄鉱石用の貨車に乗ろうと決めていました。こちらは鉄のススだらけで、屋根もありませんが。

16:00、遅れて世界最長の列車はヌアディブを出発。

  他に観光客は誰もいなかった

  私たちの貨車には 8人の地元の人 合計10人 女性はあづさだけ

  「ぼくだふじょん」(beaucoup d'argent、たくさんのお金になるんだよ)

  一緒に乗っている1匹のヤギを指し、働きに出るお兄さんが言う。



         鉄のススでいっぱいの貨車に、誰かが毛布を敷いてくれた。

         2kmもの長さの貨車の ここははじっこ

         先頭が 見えないよ



     風が強い

     砂が顔にぶつかる 顔がいたい

     砂が目に入る だめ こすっちゃだめ でもどんどん入ってくるよ どうしよう



        貧民街が見え それが過ぎると サハラ砂漠へと入っていく

        貨車から見える風景が素晴らしすぎて

        ずうっとずうっと 立って外を見ていた





           日が暮れた

           一番星は 夏の大三角だった 射手座 きれいだな

           ダンボールの箱を覗き込む男が3人

           箱の中で風をよけて お湯を沸かしている

           「アテ」(お茶をどうぞ)

           私たちに モーリタニア式の3杯のお茶を 淹れてくれる

           甘いミントティーが こんなに美味しいなんて



   目頭に 黒い球がついていた

   鉄のススで真っ黒になった 目やにだった

   喉が痛い  砂があたって顔が痛い  肺が痛い

   でも 心から楽しい 心から幸せ アイアンオートレイン



     時折列車はガツンと衝撃をきたす

     ブレーキをかけると その衝撃が200ものワゴンに玉突きになり 衝撃が増幅するのか

     ガツン 背骨が時に外れると感じるほどの 大きな衝撃を受ける

     ガツン 痛いよう



             頭上に星 サハラの月

             待っててね 満月にはシンゲッティに行くからね


          赤い上着は もうサハラ砂漠の色になっている

          顔も手も 鉄のススで真っ黒だ

          でもいいの これは 幸せなサハラ砂漠列車なの だからそれでいいの


     19時 男達が祈りを始めた

     祈りのあとに鼻をくすぐる香の香りが 忘れられない




                 月が明るい なのに 星も明るい サハラ砂漠列車の夜

                 ア リ ガ ト ウ イ チ バ ン ノ タ ビ ノ ゴ チ ソ ウ ダ ヨ



       カメラが動かなくなった ボールペンが書けなくなった

       砂が 私たちを褐色の無に帰すのか

       「もっとお話ししようよ」と サハラと星が 呼んでくれているのか





          合計10人 みんな優しくしてくれる

          ビスケットをくれた 今日のとびきりの晩ごはん

          皆 砂をよけるように全身に布をくるむ

          だから会話はまったくないけれど

          お茶を差し出す手 揺れたときに私たちを守ろうとしてくれる手

          その手と 合う目で すべての会話が できている



              強い風を受け 砂をかぶりながら 耐えながら雑魚寝

              外はサハラ砂漠の砂丘 空は満天の星 貨車には愛

              ああ とっても気持ちよい これぞ 旅


                    和人が言った言葉 「こんな体験 ほかではできないものね」

                    本当に ほんとうに ここに来て 良かったなあ





       世界最長の列車 アイアンオートレイン

       もし貴方が 勇気ある旅人で
       なにより モーリタニアを愛せる旅人なら

       私たちは このサハラ砂漠列車の旅を
       月と星と人が触れ合う 最高の貨車の旅を

       自信をもって 勧めたい

アイアンオートレイン

本日の旅
行動 :ヌアディブ観光、世界最長の列車
朝食 :なし(銀行等いろいろしていたら時間がなくなった)
昼食 :Riz aux poisson(リオーポワソン、キャベツ大根にんじんなすいわしの汁だく赤い油煮を、赤い油とトマト胡椒炊き込みライスにかけて食べる。別名リーグラLigrat)/レストラン
夕食 :ビスケット、パン、ファンタオレンジ、牛乳/世界最長の列車の貨車
宿泊 :世界最長の列車の貨車

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旅情報
1ウギア=0.5円

*世界最長の列車、アイアンオートレイン
全長2kmにも及ぶ世界最長列車。動力1両、客車1両を除き、すべて鉄鉱石を運ぶ貨車(ワゴン)である。客車がないこともある。
客車は、ヌアディブ→途中駅ショウム、ヌアディブ→終点ズエラ共に同価格。駅で出発前にチケットを購入できる。
1等クシェット(簡易寝台):3000ウギア
2等(ベンチ車両):1000ウギア
貨車は無料。

2等客室は多くの人でギュウギュウ詰めになるので横にもなれないが、貨車なら足を伸ばして眠れる。ほとんどのツーリストは、アタールやシンゲッティに行くため途中駅ショウムで下車しますが、私たちは終点ズエラまで行きました。出発は16時、到着は翌朝7時ごろ。

気になる寒さですが、10月下旬のこのとき、冷え込む砂漠の寒さはなかったです。ただし、砂対策は必要。大事なものはビニール袋に入れて口をしばるとか、タオルで顔を全面覆って寝るといった具合です。