満月の夜


「1月2月3月」といった暦、それは夜空の月の満月周期が約28日であることに由来します。それほど、月の動きは、日本だけでなく世界各地でも古来から重要視されてきました。

私達は、モーリタニアのシンゲッティで、2日で下の2つを体験できました。
(1)満月の、月光で明るく輝くサハラ砂漠
(2)月のない、暗闇に頭上で満天の星が煌くサハラ砂漠

『満月の翌日は少し月が欠けただけの明るい夜なんじゃないの・・・?』と、不思議に思われるかもしれないので、今回その仕組みをまとめました。





さて、太陽と地球と月の位置関係は、以下の通りです。
・地球の公転周期365日、
・地球の自転周期は24時間、
・月の公転周期は28日です。
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満月の日は、太陽と月が地球の逆方向に位置しています。
だから、太陽の光を全面的に浴びた月を、地球上の観測者は太陽と同じ側から見るため、満月として観測されます。(太陽と月の間に光を遮るように地球が位置した場合は月食となります)
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地球上の観測者を、以下の図で、■で表わしました。
■の人は、地球が少しでも自転すると太陽が見えなくなります。太陽が西の地平線に見える、日没の瞬間です。また、地球が少しでも自転すると、月が見えてきます。月が東の地平線に見える瞬間です。

つまり、満月の日は、日没と月の出が、同時に見えるのです。
逆を言えば、日没と月の出が同時に見えたら、その日が満月なのです
さあ、これで、満月の仕組みはOKですね(*^-^*)
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次に、『満月の翌日には、月のない満天の星空が見られる』という仕組みを紹介します。
月の公転周期は地球のそれよりも格段に早く、約28日で地球を1周します。だから、1日経過するだけで、1周の1/28も進んでいます。
だから、日没の瞬間であっても、まだまだ月は見えてきません。
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では、日没と月の出の時間差はどのくらいでしょう?
1日で月が進んだ角度は、360°の1/28=約13°ですから、
地球がその角度を回ったとき、月が見えてくるので、
24時間×1/28=約52分となります。
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52分間は、太陽も月も見えません。地平線近くはそれらの明かりでほんのり明るいのですが、「太陽直径=2分」(≫こちら)のページでも紹介しているように、10分もすれば太陽は直径5つ分も動き、太陽の明かりは極端に少なくなります。むしろ街灯りのほうが気になるくらいに。もちろん空気が汚染されていれば、太陽光を粉塵が反射して、頭上もうすら明るい状態が続くのでしょうけれど、空気が澄んでいるところであれば、太陽光を反射するものがないため、地平線が明るくても頭上は暗闇という状態が得られます。

日没から月の出までの52分間、サハラ砂漠という人類に汚されない砂の大地は、頭上は暗闇でした。だから、満月の翌日であるにも関わらず、ものすごい明るさで無数の星が見えました。

思い入れのある場所で、空は、満月と満天の星という2つの相異なるプレゼントをくれるのですね。

これを読んでくれた誰かの、次の旅の役に立てたら嬉しいなと思い、モーリタニアのヌアクショットで、このページを作りました。

(注)月の公転周期は正確には28日弱なので、精密に計算すると数値は少し違ってきます。
26Oct2007