2人の世界旅 日々の記録

■不思議な朝
今日は、朝から日本大使館に行き、増補されたパスポートを受け取りに行き、そのまま別の大使館でビザ申請をする予定です。

でもまずは朝ごはん♪　っと宿を出ると、あれれー、なんか不思議な空気がただよっています。なんだろう、これは・・・？　遠くにのろしのような黒煙が上がっているから、ちょっといつもと違った雰囲気を感じちゃったのかな？

朝食を食べている最中から、近くの商店が店じまいを始めています。朝なのに店じまいって、変だなぁ。ごはんを食べたあとは、あづさと和人は別行動に入りました。あづさは日本大使館へ行き、和人はネットカフェでチャド情勢などを含めた旅情報を集めに行きます。

■そしてヤウンデの暴動
和人のその後の状況は、以下の通りです。



「１時間後外に出ると、全ての商店はクローズしており、やたらと人が外にあふれていた。ホテル付近に戻ってきたら、路上にはたくさんの投石跡と倒されたゴミ箱が散乱、警官に引っ立てられていく人の姿も。とりあえずホテルに避難し、壁の中から外を覗くと遠くでポリスは警棒を使いつつ、人を車に乗せており、みんながそれを黙って見ていた。気がつくと朝は１本だった黒煙が四方、八方、無数に上がっている。路上でタイヤを焼いたり、車を燃やしたりしているらしい。その後、部屋で色々用事をしていたら外で発砲の音。見に行くともう車は走っておらず、大勢の人々が銃声の方向に向かっていた。その後、部屋で何度か銃声を聞く。」
（≫旅メモ－カメルーン情勢２特別危機）

あづさは何も知らずに歩き、日本大使館へ向かっていました。車通りのない近道を覚えたので、車の有無など気づく由もありません。大使館の近くでは領事さんや警備員が乗った車とすれ違ったのですが、領事さんからは、「あ、松本さーん、ちょっと大使館で待っててー」とだけ言われたので、領事さんも用事が終われば戻ってくるのだろうと、普通に待っていました。

結構待ちました。そして戻ってきた領事さんから最初に聞いた言葉が「今、ヤウンデYaoundeの治安が非常に悪くなっています」でした。ドゥアラDoualaの反大統領運動、その道路封鎖による物資断絶がヤウンデ住民にも火をつけたらしく、ヤウンデからも道路封鎖が起き、警察の発砲による死者も出て、様々なところで車が炎上するわ、とにかく大変な暴動事態となっているのだそうです。日本大使館も通常業務は一時閉鎖するとのことで、あづさは領事さんの指示により、増補されたパスポートを受け取ったのち、大使館の車で警備員のＫさんの警護のもとで宿に送ってもらいました。

Ｋさんは状況判断も適確な方でした。ただあづさを送るだけでなく、「ご主人様の無事も確認させてください」と、部屋に顔見せにも来てくれました。「場合によってはここから退避し大使館側で保護する場合もあります。荷物はまとめておいてください」と言い、帰っていかれました。

しかし迎えに来たのは１分後（爆）←早すぎ！

いえ、早いことは良いのです。有難きことこの上ないのです。ただ洗濯物も室内に干していただけに、１分では荷物はまとめられなかっただけです（^^ゞ

私たちが泊まっているンロンカクNlongkakのあたりが投石（かなりごつい大きな石を車に向かって投げた様子）を含めた暴動の場となっており、更に近傍から連続して銃声が聞こえたことから、ここに日本人を置いておくのは危険と判断したのでしょう。それで、すぐに警備員のＫさんに、私たちを保護するよう、指令が入ったのだと思います。

今夜の宿代も払ってしまったのですが、それも諦めて、私たちは大使館の車に乗り込みました。大使館の車は別ホテルに行き、もう１人の日本人（研究でカメルーンに来ている方）をピックアップしてから日本大使館へ向かいました。

私たちと研究者　－小岩井さん（仮称）とでも呼びましょうか－　は、３人で大使館の中で待機しました。お昼も食べていなかったのでお腹ぺこぺこ（>_<）　非常食のおこわをいただいたのですが、それを食べてもお腹がすいてしまうほどでした。ここにいると外のことなどまったく分からず、静かそのものです。しかし夕方になっても治安は一向に良くならないという連絡が入り、今夜は領事さんの家で保護されることになりました。

領事さんの家ではキッチンを使わせてもらえ、警備員のＫさんが下さったインスタントラーメンを作りました（日本の味、とんこつラーメン！）。領事さんも本当にいろいろと配慮してくださり、夜はお腹もすかず喉も渇かず、快適に過ごせました。

夜、テレビで大統領演説が報道されました。今回の事件は、大統領が自分の任期を延ばすための憲法改正を表明したことが反大統領勢力を煽ったことが発端なのですが、それなのに大統領演説は「暴動が続くならば軍の介入も辞さない」・・・、ひどいものでした。

「バーン」・・・夜、寝ているときにも、遠くから銃撃の音。そんな、カメルーンの一夜を過ごしています。