2人の世界旅 日々の記録

4年3ヶ月、1日も欠かさず綴った旅日記
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ペルー>2010年01月07日(Thu)
★スペ行き夜行バス→スペ→カラル→カラル遺跡→カラル→スペ→リマ
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■世界はかつて、五大文明だった
教科書に沿って世界史を学ぶ場合、「四大文明」をまず最初に学ぶことでしょう。それによれば、5000年もの前には「南米大陸には文明がなかった」のが定説です。何故ならば、私たちが一昨日訪問した「チャビン遺跡」(チャビン文明)が南米最古の文明とされ、それが3000年前のものと分かっているからです。

しかし、その「四大文明」という常識を覆したのが、今日訪問するカラルCaral遺跡です。近年の調査により、カラル文明は、メソポタミア文明およびエジプト文明に次ぐ時期の、アメリカ大陸最古の文明だと証明されました。そう、つまりは、5000年もの昔、世界はかつて「五大文明」だったのです!

ペルーの砂漠地帯、スペSupe谷の砂の中からカラル遺跡が発見されたのは1948年ですが、文明があったと言えるまでの工芸品などが見つからなかったことから、研究も進められず、発表もされなかったそうです。南米大陸の文明には「文字」がなかったことが、調査の進展を阻害しているのかもしれません。しかし1990年代より再び発掘と調査が進められ、2001年に年代同定、世界四大文明説から五大文明説へ、そして2009年世界遺産登録と、凄まじい勢いでカラル遺跡は注目を浴びています。

さて、行き方ですが、リマLimaなどの大都市からツアーに乗るのが手っ取り早いとは分かっていても、お金をかけずに訪問することももちろんできます。最寄りとなるのは幹線道路上にあるスペSupeの町で、そこから乗り合いタクシーでカラルCaral村へ行き、村から歩いて1時間ほど(この区間タクシーチャーターも可能です)で遺跡に到着します。私たちはワリHuarriからリマ行きのバスに乗って夜明け前にスペで途中下車し、コーヒー屋台で夜が明けるのを待って、移動を開始しました。

カラル遺跡は、美しい砂丘のふもとに広がっていました。広いなあとは思っていたのですが、あとから調べたらその面積は66ヘクタールにもわたっているそうです。つまり私たちが見たのは、その中心部の狭い範囲だけということになります。それでも、びっくりするほどのたくさんのピラミッドがありました。そのピラミッドは、エジプト最古のピラミッドが作られたのと同時期に作られたのだからすごいです。建造の技術はかなり高いものを持っていたのではないかいうことが分かります。

さて、遺跡に入れる朝9時を待ちました。入場料は11ソルと安いのですが、ガイドなしでは入れない上、ガイド料が20ソルと高い。他のアルゼンチン人観光客4人と折半しようということになったのですが、スペイン語しか話せないガイドはスペイン語しか話せないアルゼンチン人と和気藹々やってて、私たちは無視体制です。これはフェアではないという私たちのクレームより、結果的に私たちは発掘調査職員(カラル勤務8年のベテランおじさん!)同伴を条件に、ガイドなしで歩けることになりました。遺跡内には英語またはスペイン語の説明パネルも随所にあるので、スペイン語しかできないガイドと歩くよりはきっと多くのことが分かります。

カラル遺跡は、とにかくどこを歩いてもピラミッドだらけです。1つ1つのピラミッドは底面積は広いので(メインのピラミッドなど底面積がサッカーコート4面分らしいです)、近づくとピラミッドがカメラの視野に収まりません(^^ゞ

ペルー

霞の向こうに多数の丘が見えるでしょ。
ベテランおじさんによると、この丘が全部ピラミッドらしいです!(言いやすさからtodo(全部)って言っただけかもしれませんが)  今はまだ丘の姿をしていますが、どんな世界だって古代のピラミッドは丘の状態で、地域によっては草ぼうぼうの状態で発見されて修復されて観光客に披露されるわけで・・・、今見えている丘が全部立派なピラミッドだとしたら、発掘と修復が終わったお披露目姿を想像すると、ぞくぞくしませんか? こんな小さなカメラの視野にピラミッド群が乱立する将来の光景は、すごいに決まってる!!


先述の通り、南米の文明には文字がないのですが、カラル文明にはすでに「キープ」があったことが発掘から分かっているようです。キープとは、インカ帝国(13~16世紀)の情報伝達手段としては有名で、ひもにノット(結び目)を作り、ノットの位置と数で情報を記録していくものです。インカ帝国よりも4000年以上も古いカラル文明でもキープが使われていたということは、カラル文明が後のアンデス文明に継承されていった証拠の1つなのでしょう。

カラル遺跡からは、「戦いの跡」が見つかっていません。死体の山も、鎧も、武器も見つかっていません。その代わり魚介類の跡が多数見つかっていることから、商業交易地として栄えた平和な平和な古代宗教都市だったのではないかと推測されています。文字がない文明ゆえ、発掘を進めても、当時のことを示唆される「証拠」を得にくいのですが、それでも今も、発掘と調査、そして修復が進められています。

カラル遺跡の本格的な発掘が始まって、まだ20年も経っていません。だから知名度も低く、まだそこを訪問するツーリストは少ないのが現状です。でも、広大な砂漠に、砂の蜃気楼のように立つ数々のピラミッドの群れは、そしてユネスコも高く評価したというやがて世界史の教科書を塗りなおす「五大文明」の1つは、ペルーでは見逃すことのできない素晴らしい遺産だと、確信しています。
本日の旅
行動 :スペで夜行バス下車、カラル遺跡観光、リマへ移動
朝食 :cafe(カフェ、コーヒー)、pan con tortilla(パンコントルティージャ、フライドエッグ挟みパン)、pan con camote(パンコンカモテ、揚げスィートポテト挟みパン)/スペの屋台
昼食 :sancocho(サンコーチョ、輪切りとうもろこしユカ(キャッサバ芋)骨付き肉野菜のスープ)、オレンジジュース、arroz con pollo(アロースコンポジョ、にんにく風味ごはんとフライドチキン)、にんにく風味白豆ピューレ/スペの食堂
夕食 :Tamal(タマル、とうもろこし粉を練ってバナナの葉にくるんでゆでたもの)、スライス玉ねぎ香草、ceviche(セビッチェ、角切り魚と玉ねぎのレモン和え)、カモテ、レタス、ポップコーン、インカコーラ、pescado frito(ペスカドフリット、魚フライ)、arroz(アロース、ごはん)、ゆでじゃがクリームソースがけ/リマの食堂
宿泊 :オスタルサンフランシスコHostal San Francisco
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旅情報
1ソル=32.8円

*カラル遺跡公式サイト
http://www.caralperu.gob.pe/