2人の世界旅 日々の記録

4年3ヶ月、1日も欠かさず綴った旅日記
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ペルー>2010年01月09日(Sat)
★リマ→チンチャ→ミラドール(地上絵)→ミラドールナトゥラル
:: 旅975日め : 世界旅175国め : 和人235ヶ国め : あづさ190ヶ国め ::

■ナスカの地上絵に囲まれたい
あづさは、今日の日を、多分ペルーの旅で一番心待ちにしていました。

首都リマLimaからバスに乗り、パンアメリカンハイウェイを走ること7時間。「ナスカNazcaまでのバスチケットを買った」はずなのに、下車した地点は、ナスカの町よりも20km以上手前の、砂漠の中。


        そんな砂漠に、何があるの?


        そこには、地上絵があるんだよ。



世界遺産名は、「ナスカとフマナ平原の地上絵」。
紀元前、2000年以上も前に描かれた、遥か上空から見ないと分からないほど大きな絵の数々。そして10000本を越える古代の地上の線「ナスカライン」。1936年に発見され、マリア・ライヘの調査により世界へと発表された「ナスカの地上絵」は、世界の不思議の1つ。

砂漠の、黒く日焼けした石を退けて土壌の白い部分を露呈させることで描かれた線と、動植物の絵や図形たち。

「誰が何のために描いたのか」・・・川の氾濫予測用カレンダー説、呪術説、社会事業説、儀式説、宇宙人説など諸説があるが、誰もその答えは知らない。どんな答えだったとしても、ここナスカは世界で最も雨が降らない地、カラカラに晴れた大地を歩いて石退け作業をするだなんて、尋常ではない。


ナスカの地上絵のうち、「トカゲ」の絵を分断するように、パンアメリカンハイウェイは走っている。それはちょうど、マリア・ライヘが立てた展望台(ミラドール、小さな鉄塔)のすぐ近く。私たちが降りたのは、そのミラドールの前だった。

ミラドールに登るために1ソルを支払い、荷物を地面に置き去りにしてすぐさま階段を駆け上った。夕陽にあたる「手」と「木」の絵が、ミラドールから見ることができる。「手」と「木」の絵は小さい。だから、それほど高くない鉄塔からも、その形が分かるのだ。

ペルー人の収入は日本人の1/10にも満たない(少々古い統計ですが、1人あたりのGDPで比較)。だからペルー人は5000円以上のお金がかかる地上絵のセスナフライトには乗れないと聞く。でも、地元の人はセスナに乗るお金がなくても、このマリア・ライヘが建てたミラドールのおかげで、1人1ソル(約30円)で地上絵を見られるのだ。

ミラドールには日本人観光客が2人いて、日本語ガイドが1人いた。思わずあづさは、我慢できずに「線、きれいになってますね・・・」とそのガイドに尋ねてしまった。あからさまに修復された線は、白黒がくっきりしすぎていて、違和感があった。ガイドによると、8ヶ月前に政府による地上絵大修復が行われたそうだ。良いものか悪いものか・・・でも、放っておいても風化する一方だし、遺跡は修復されるのが常だから、「やりすぎ」でなければ良いのかもしれない。


通常、ナスカの地上絵を観光する場合は、ナスカの町(時にはイカIcaの町)からセスナに乗って遊覧する。でもその遊覧時間は30分程度、次から次へと絵が流れ、あっという間に地上絵遊覧は終わってしまう。

空から見る地上絵はもちろん良いのだけれど、ナスカの地上絵に憧れてナスカに来たのに、その邂逅が30分だけというのは大変に寂しい。だから今日どうしてもやりたかったことは、「始終、地上絵と共に過ごす」ことだった。バックパックを持ってバスを途中下車したのも、最終目的はそこにある。


鉄塔のミラドールから1km離れたところには、「自然の丘」がある。スペイン語では「ミラドールナトゥラル」と言い、英語で言うなら「ナチュラルミラドール」となるだろう。小さな丘は、先述の、10000本を越えるナスカラインの一部が交差する場所にある。いや、ものの順序から考えれば、自然の丘がある場所に、わざと線が交差するように線が描かれたのだ。

ミラドールから全部の荷物を持って1kmの距離を歩き、自然の丘に到着した。

ここは、格別に好きなところだ。丘はナスカの地上絵の線が交差するところにあり、丘の上から多数の線を見ることができる。地上絵の線の上に立つことだってできるし、地上絵の線に触れることだってできる。

2000年以上前に描かれた線は、非常に神秘的である。無数のオーパーツ。そして自分の好きなだけその神秘を眺めていられる・・・ここを格別に気に入っているのは、そんな理由によると思う。

(※オーパーツ:現代科学では説明できない超古代文明の存在やその証拠物体などのこと)

丘の頂上に座って、2000年前のナスカラインを眺める。
すごいなあ。きれいだなあ。
ずっとナスカの地上絵に触れていたい、ここから、帰りたくない。

日が落ちて、最後の観光客がいなくなった。
丘のふもとに、テントを敷いて、寝っころがった。


星がきれい、時折、流れ星。


私たちは、古代の、誰が何のために描いたかわからない神秘の線に囲まれて、2000年前の人の気持ちに近づいていた。


ビラコチャ。簡単に言うと、インカの神。
ナスカの地上絵の制作目的に諸説がある中、私たちは「その絵を神に見せる」という説が気に入っている。そうだよね、神なら、大きな大きな地上の絵がちょうどいい大きさに見えるものね。

地上の小さな人間として空を眺めていると、「昔の人は、きっと大きな絵を地上に描いてビラコチャに見てほしかったんじゃないかか」、ナンテ思えて、ロマンにも浸ることができる。

丘のふもとで、どれくらい星空を眺めていただろう。


再び、流れ星。



そのままテントに入り、謎と神秘の大地に包まれて、寝た。
風の音が、夜の間中、気持ちよかった。








「始終、地上絵と共に過ごす」

ペルー

- これが、ナスカの地上絵を作る、2000年の神秘のラインです -

本日の旅
行動 :リマからナスカ郊外へ移動、地上絵観測
朝食 :ごはん、にんにく生姜スープ/宿
昼食 :Chupe de pescado(チュペデペスカド、魚のだしが出たスープに魚の唐揚げとごはんを入れたもの)/チンチャの食堂
夕食 :砂糖がけピーナッツ、甘いポップコーン/テントの中
宿泊 :ミラドールナトゥラルMirador Natural
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旅情報
1ソル=32.8円

*ミラドールナトゥラル
ナスカ市街地からおよそ20kmのところにある、ナスカの地上絵の線がたくさん見られる展望の丘。時折巡回警察はやってきますが管理人がいないので入場無料。ミラドールナトゥラル観光の際は「prohibido ingresar del campo」(平原に入らないように)の看板に従い、地上絵の線を絶対荒らさないよう配慮してください。日記本文中の写真は線が線と分かるかなりぎりぎりまで立ち入っていますが、実際に星を見ていた(そのあとテントを張った)のは、線のない丘のふもとです。