旅人の目
世界の国を全部訪問した旅人が書き綴る
マラリアについて
世界一周中の日本人夫婦がマラリアで2人ともなくなるという痛ましいニュースが半月ほど前に流れていた。同じように旅をして、マラリアにも罹った経験のある身としては他人事ではない話である。気になってネット上で色々情報を見ていたのだが、やはり多くの人がマラリア、そして現地の医療事情について誤解しているようなので、今さらながら少し書いてみる。私自身は91年にアフリカを旅した時に4度もマラリアに罹っている。知り合いでマラリア経験者はざっと数えただけで10人近くいるし、旅先であった旅行者がマラリアで倒れているのを助けたこともある。これらの経験を元に、旅のQ&Aの中にマラリア対策を書いている。かなり前に書いたものだが、これを読んでいれば今回のような痛ましい出来事は起こらなかったのにと思うと残念でならない。要は、
「治療薬と体温計を持ち歩くこと」
これさえ守っていればまず大丈夫(なはず)。この記事はかなーり昔に書いたものなので、薬に関しては古すぎる内容が含まれています。これとは別に、今回2度マラリアに倒れた経験を踏まえ、日本大使館の医務官に色々確認した結果をまとめ、内容に医務官お墨付きももらった抗マラリア薬というページを薬剤師でもある妻が書いているので、併せてお読みください。
マラリアは毎年100万人以上の死者が出ている恐ろしい病気だといいますが、死者の大半が乳幼児で、今は良い薬があるので若者が簡単に死ぬような病気ではありません。ただし、それはあくまで薬を初期段階で飲んだ場合です。治療薬を飲まないと治せない病気で、手遅れになると若く体力があっても死に至る病であることは決して忘れないように。そして、手遅れになるまでの時間が意外に短い。
旅人の話じゃなぁと思われる方は、「スタンバイ治療 マラリア」で検索してみてください。医療関係者が専門的に書いたものがたくさんヒットします。
今回の事件で本当に痛ましいと思ったのは、医者に高山病と診断され、それを信じてしまって手遅れになったことです。途上国では(本当は先進国でも)あてにならない医者が多いので常に疑いましょう。マラリア地帯以外でマラリアを診たことのある医者は少ないのです。
マラリア地帯でマラリアを疑って病院に行ったことも2度あるが、この時は2度とも検査はしたが、結果は半日ほどまてで、「問診の結果まずマラリアだから薬を飲みなさい」といわれた。で、すでに飲んでいた薬をいうと、「では後は寝てなさい」で終わった。なので、マラリア確実なら、医者に行かず、薬を飲んで寝ているだけで十分な気がする。実際に今回妻が罹った時は2度とも病院には行きませんでした。ただ、それは私が4度もり患した経験があり、症状がその時と同じだったから。マラリアのタイプはいくつもあるので、自信がなければ、専門家が書いているスタンバイ治療のように、薬をまず飲み、医者に診てもらえる場所ならなるべく早く診てもらうこと。
ちなみに病院代をケチって医者に診てもらわなかったのでは? というデマが今回は流れていましたが、外国人用の特別な病院でない限り、途上国の病院は安いです。そうでないと地元の人が来てくれませんから。私の経験からいうと、マラウイ、コスタリカ、ブータン、アフガニスタンの病院は無料だったし、インドネシアとインド、ジンバブエではこんな安くて良いのって値段だった。インド、ジンバブエでは別の病院にも行っており、こっちは痛い金額。コンゴもちょっと痛い金額だったかな。インドはどうも交渉せいなので、金はあまりないといわないとかなりふざけた金額をいってきます。診察の前に値段交渉してきてびっくりだった。でもインドでは歯医者も同じように値段交渉制でした。残念ながら、歯医者は特別にしてもらったトンガ以外、どこも日本の保険治療より高かったです。