エピローグ 


私は、その南の島で、何度も掠れ(かすれ)声を出していました。

目を閉じると涙を落としそうになりながら、弱い心で、

「幸せだなぁ」って

泣きそうになりながら、心細い声を出していました。





その旅のごくわずか前、私は、
南米ボリビア、首都の夜で首絞め強盗に遭ってしまいました

それまで、心から行きたい土地の最後がボリビアだったんです
本当は大満足で旅を終えるはずだったのに・・・悪夢の旅



もう旅なんかしなければいいのにって、誰もが言うかもしれない


・・・旅は怖い。
・・・だけど強盗の記憶で旅を終わらせたくない。

なのに、次に旅をする場所が、ない・・・


嗚呼、どこにいこう
どこなら私を救ってくれるだろう

どこ どこ どこ ・・・・・


首都には悪い人もいっぱいいるのだから仕方ないと
自分に言い聞かせるほど逆に恐怖感がつのるまま
そんな縮重した心のまま逃げ込んだ国が、バヌアツでした


嫌な記憶を変えたくて、新しい旅を作りたくて

無理をして、





・・・逃げるように南の島に行っていたんですよね。











*



バヌアツの首都ポートビラには、深夜に到着しました






あ・・・ れ・・・?



人が私を見ないよ?

誰も目で私を追わないよ?

誰も私を狙わないよ?




・・・こんな夜の首都が、地球にあるの?・・・





翌日、旅行会社の人は、「ここは地球の隠れ家なんですよ」と表現していました

ほんと、そのとおりだね

脅えの要らないその国は
国が平和で、人が平和で、皆の心が平和になれる
ここは本当に幸せな“地球の隠れ家”でした


旅の見所だけを思い出しても、
タンナ島のあの火山や原住民とのふれあいは、
地球稀有の旅の財産として、
きっと訪れた人が誰もが旅の宝物にできると思います


素晴らしきエファテ島のカスケード滝
世界で最も間近で見れる躍動の活火山ヤスール
素朴な伝統暮らしを守り抜き、文明の衣類をまとわない原住民たち

幸せな国バヌアツへ行く人に、
これからこの旅行記が役に立てるといいな







目を閉じると涙を落としそうになるほどの弱い心で訪れたバヌアツは、

「また、旅を、続けなさい」「もっともっと、いろんな地球を見てきなさい」と

私に教えてくれたかのよう。



大きく救われた心で、私は、微かな涙声で、

「幸せだなぁ」って、口に出していました。



このバヌアツの旅があり、紆余曲折を経て
いよいよ2007年春、大きな世界旅へ。


そして、感謝の気持ちと共に、
絶対、この幸せな国に、また訪れたいです。





* * *


参考:≫「最も幸せな国」はバヌアツ (旅人の目)




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