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 エピローグ 




『・・・やっと逢えたね』


それが、私のボリビアの旅

その旅は、大好きな人に逢いたくて逢いたくてずっと逢いたいと思っていて、
想い続ける大好きな人にやっと逢えたような、それほどに心が熱くなる旅でした。

私が通ったルートは別段特殊なルートでもないし、
お金と時間とちょっぴりの勇気があれば誰だって行けるところ。



だけどね、
普通の人にこんにちはと言って会うのと、
離れながらも大好きと想い続けた人に逢うのとでは、
心の熱さも流す涙も呼吸の仕方も全然違うじゃない?




タ ニ ン ニ ト ッ テ ナ ン テ コ ト ナ イ ト コ ロ デ モ

ソ レ ガ ジ ブ ン ニ ト ッ テ ハ サ イ ジ ョ ウ キ ュ ウ ノ チ デ ア ル コ ト ダ ッ テ ア ル





私は、私が“旅”と決めたものは、常にこの気持ちをもつ旅で在りたいんです。
愛する土地に恋焦がれて逢いに行くこと、これだけは絶対に譲れないんです。


もちろん今までもいろいろな土地に恋をして、1つ1つ夢を叶える旅を終えてきたつもり。
でも、その中でも、私が世界の旅に目を向けるようになってすぐに心を奪われたボリビアアンデスは、
私にとって、この上ない、他に替えようのない特別な存在だったんです。


でも実際は、逢いたい逢いたい、と思っていても時間が取れなくて、
やがて52ヶ月越しにやっと逢えることになった。
その土地に抱きかかえてもらえた私は、本当に本当に幸せだった。

だって、私が生きる支えになっていた夢が叶ったんですもの。
なんて、幸せな、ことでしょう。




実際のボリビアアンデスの旅は、どこを取っても過酷な旅でした。

標高5000mを越え、気圧計がどんどん低値を示す恐怖
頭痛と意識もうろう感、高山病と寒さがどうにもならない恐怖
でも、そんな過酷としか言えない中、地球の尖ったところに一人で立って、真夜中の満天の星を見ていたとき、
私は私を取り巻くすべて・・・空と天と星と大地に向かって
『・・・やっと逢えたね』って、笑顔で声を出したんです。


なんか今、こうして文章にすると、嘘くさいような変な感じかもしれないけれど、
そのときの私は、夢が1つ消えていくことを寂しく思って、
本当に涙が出ていたんですよね。

私は、ここに来ることが、大きな最後の夢だったから・・・。












夢が叶うということは、1つ夢が減るということで、
最後に残った夢が叶うということは、夢がなくなるということで、
だから私は、これだけ大きな、愛する人に逢いに行くような旅は
もう2度とできないんだと思う。




*




私は、ボリビアの旅に出るまでは、夢は消えないほうがいいと思っていた。
夢を叶え続け、夢は持ち続けていくものだと思っていた。

だから、
この旅から帰国して何ヶ月もの間、夢がゼロになったことを、心をカラにして、悔しく思っていた。

でもね、旅を終えて数ヶ月も経つと、ちょっとずつ私、変わってきたんですよ。
夢がゼロになって良かったと、そう思えるようになってきたんですよ。
自分の旅が、新しいスタイルに生まれ変われるかもしれないって思えるようになってきたから。


もちろんね、「行ってみたい」程度のところならたくさんあるんです。
でも「行かなければ」と熱くなれるところはまだありません。







でもそれでいい。



私は、もっともっと、新しい旅ができるはずだもの!









*


この写真は、チリから出国する日、旅の最終日に撮った、サンチアゴを見守るアンデスの写真です。
大気汚染がかかる大都会サンチアゴ、そしてチリ全土を見守ってくれているかのよう。



ボリビア到着日、ボリビアに立ったその日から、チリ出国のこの日まで、
この旅は最初から最後までアンデスに支えられた旅でした。

「アディオス(さようなら)」

私はもう2度とここに来ることはないかもしれないと思い、大好きなアンデスにお別れを言いました。










* * *


帰国して1ヶ月が経つ頃、ちょうど私が誕生日を迎える頃、
在ボリビア日本大使館から電話がかかってきました。
私のパスポートが地元のおばさんから遺失物として届けられたそうです。
道端にポイ捨てされていたのだとか。
ボリビアでパスポートを盗られた日本人で、それが見つかったのは初めてとのことで、
・・・なんだか複雑な気分です。

やがて大使館からパスポートが届きました。
ボリビア入国スタンプがあって出国スタンプがなかったり、
今は不要な中国ビザシールが貼ってあったり、
苦労して取ったエチオピアビザがあったりと、
首絞め強盗は本当に嫌な思い出のはずなのに、戻ってくると、やっぱり嬉しい。



私は、旅、そして特にパスポートに関連して、様々な方に、大きな大きな力をお借りしました。

旅行記の最後になりますが、渡航中、そして帰国後、
私を支えてくれたすべての方々に、心の底から、感謝します。


私はこの旅と旅で培ったものの大きさを、一生忘れません。

本当に、本当にありがとうございました。



左が盗難パスポート、右が奇跡の1日再発給パスポート
1つの旅を共有した、大事な2冊のパスポート




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