ジンカで過ごすアフリカ初日 

(エチオピアの通貨:1ブル13.0円でした)


成田-バンコク-アディスアベバと飛行機を乗り継いで
やっと私はエチオピア南部辺境の街ジンカの原っぱ滑走路に降り立ちました。

私は突然降り立ったアフリカの町に、心拍数を高めていました。

今日は土曜日。ジンカでは週に一度のビッグマーケットが開催される日です。
だからでしょうか、街にはブラックな音楽が大音量で流れています。
聞きなれないリズムと音質に、何だかわくわくしてきます。

*

出口はどこだろう?と見慣れない風景をきょろきょろと見ていたら
誰かが私に『Azusa!』と声をかけました。

その声の主は1人のエチオピア人。
NTOというエチオピア国営の旅行会社のスタッフでした。

日本を出発する2日前、私はアディスアベバのNTOオフィスにメールを出していました。
そのメール1つだけで、アディスアベバから2日かけてジンカに来てくれたんです!

なんて私は幸せなのでしょう(*^-^*)

エチオピア人の名前は“Tamirat”、タムラットと発音するのですが、
日本語の「田村さん」に似ているので、私は「タムラ」って呼ぶことにしました(*^^*)

*

『Welcome to Ethiopia! Welcome to Jinka!』

タムラの出迎えと共に、私のエチオピア本番の始まりです。

まず、原っぱ滑走路から道1つ渡っただけのところにあるOMOホテルに行きます。
ここにはNTOのオフィスがあります。
まずここで、明日から予定しているムルシ族の集落へ行くためのカーチャーターの手配を契約します。

NTOは、さすが国営の旅行会社だけあって、料金体系は明快です。
1km走るといくら、テント泊が加わるといくら、保険が何%、etc、という感じです。

ちなみにタムラはアムハラ語圏のエチオピア人ですが、英語が話せるので私との会話は全部英語です。

ジンカからムルシ族の集落は近く、片道2時間で行けるため、
チャーター代は往復で1300ブル(16900円)程度です。

・・・うーん・・・

折角何十時間もかけて日本からここまで来たのに、たった片道2時間のお出かけ程度の行程で
エチオピアの旅の目的を終えてしまっていいのかなぁ?
私は、もちろんムルシ族の集落に行くことが旅の目的であったにも関わらず、
思っていたよりもあっさりと行けてしまう現実に直面して、途端に不安になってきました。

『どうせなら、大アドベンチャーな探検旅行にしたい!』

そう思うようになった私は、手持ちの資料や写真をタムラにいろいろと見せました。
「この人は?」「この人は?」「この人は?」
っていう感じで、種族の写真をいろいろと見せます。
タムラは「これはアリ族、この近くで見れるよ」
「これはバンナ族。ちょっと遠いところに住んでるよ」
「これはハマル族。彼らのこの姿を見るには遥か遥か遠くに行かなければならないよ」

という感じで、詳しく返事をしてくれます。

そうしてタムラは「よし、これらの種族を全部Azusaに会わせてあげる。
キャンプしながら、2日かけて回ろう」
とよい提案をしてくれました。

そうなると、オフィスでは計算のしなおしです。
チャーター代、ガイド2人分の料金、キャンプ用品レンタル、保険など、
丸2日間の私だけのプライベートツアーで490US$(55110円)という価格が出てきました。

うーん、高いなぁと思ったのは一瞬です。

「ここまで来たら安あがりのほうがもったいない!」

と、私は迷わずにその価格を受け入れるどころか、ババンと500US$(56235円)を支払いました。

そのかわり私1人のためのプライベートツアーなのだから、
思いっきりわがままも聞いてもらえますよね。うふふ、うれしーねー(*^^*)v

*

NTOとの契約が済んだら、今日泊まるホテルを探そうと思いました。
地球の歩き方で目星をつけていたのはORITホテルでしたが、
タムラがすすめてくれたのは、GOHホテルでした。
ジンカのベストホテルなのだそう(*^^*)

どれも原っぱ滑走路から歩いて10秒のホテルなので、近いんですけどね。

昨日はアディスアベバのボレ空港で野宿していたので、デジカムの充電ができていません。
GOHホテルにチェックインするとき、一番こだわったのは電源コンセントの確認でした。

ジンカの街では、電気の供給は24時間ではありません。
たいてい夜6時頃から通電が始まり、終わりは夜10時だったり11時だったり。
宿を決めるときは電気の時間も確認しましょうね。
「ライト」や「コンセント」でなく「エレクトリック」って聞くと通じます。

宿の部屋でまずやることは、蚊とハエを落とすこと。
そしてベッドや椅子などの南京虫などのダニを殺すこと。

ハエ取り線香を焚き、ダニアーススプレーをまき、自分にも虫除けスプレーをつけました。

さ!今から、ジンカの土曜マーケットを散策しに行きましょー\(^^)/

*

宿を出て道を歩きます。
まず、今までの海外旅行の旅とは、土の色が違う、空気が違う、ドキドキ感が違う・・・

驚きと、興奮とが入り混じる中、マーケットの中心地へ歩いていきます。
黒、黒、黒、すごい数の人~(@@)

ここは集会所じゃないのよ、市場なのよ!地べたの上に商品が並んでいるんですよ!
この広さ、想像してみてください。
遥か遠くまで続く地面の上に、店が並んでいるのです。
ただでさえ人が多く、それだけでもひしめくのに、ここに、商品も羅列しています。
ちなみに傘が目立ちますが、雨が降っているのではなく、多くは売り物です。

写真で見る限りはそうではないかもしれませんが、
女1人でここを歩くのはかなり心拍数が上がりました(++ゞ

でも私は想像していた以上のブラックな雰囲気にドキドキしながらも、
興奮隠せずカメラのシャッターをきっていました。

*

あっちへふらふら、こっちへふらふら…。
どこへ行っても人、人、人!というジンカを歩いていると、

ムルシ族に会いました~\(^^)/

わぁ~、唇にお皿だぁ~♪


(写真左は私です^^)


↓拡大↓



ジンカの土曜市には、何週間かに1度、ムルシ族の人々も物資の調達にやってくるんだそうです。
(片道100kmの道のりを2日かけて歩いてくるのだとか…すごい…)
私は、超ラッキー(?)なことに、この1日で何度も、何人ものムルシ族の人々に会えました。
近くにいた子供たちに聞くと、こんなにムルシ族の人が集団で来ていることは毎週というわけではないそうです。

ムルシ族の女性は、下唇に穴をあけてお皿をはめているという、地球でも稀に見る珍しい種族です。
この女性は、耳にも穴をあけてお皿をはめていました。すご~~い。
下唇がびろーんと伸びて。。。スゴイ。。。(°°;

この写真は、ムルシ族の女性4人と肩を組みながら(笑)、5人で並んで写真を撮りました♪
(写真の左が私です)

ね?ね? すごいでしょう?\(^^)/

本当なら明日会いにいくはずのムルシ族に、初日から出会うことが出来て私はラッキーです♪





*

先ほど見た広大なマーケットはスパイスマーケットです。
ジンカの街を散策していると、ごったがえす人の波はフルーツマーケットアニマルマーケットなど
いろいろなマーケットを作り出していました。


*

さて、ジンカを歩いて困ったことが一つ。

人がうざい(▼▼)!!

アメリカ人が「Hey! Hey!」「Hey! Hey!」というのと同じ感じで
子供たちは人を指差して「You! You!」「You! You!」という。



「You! You!」「You! You!」



「You! You!」「You! You!」



「You! You! You! You! You! You! You! You!」



「You! You! You! You! You! You! You! You!」



「You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! You!」



「you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you!」



「you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you!」



「you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you! you!」









う゛~~~~~ (▼▼)!!

どこに行ってもユーユーと声をかけられる。
あまり愉快なものではなく、はっきり言って、うざい。

ユーユーならまだよいのだが、中にはエキサイトなガキもいて、
モーニング娘。のらぶましーん。「あんたにゃー、もーったいない(ゥウッゥウッ)」
の「ゥウッゥウッ」の音と同じ音で、「ュウッュウッ」という子供もいる。

サッカーの試合の実況中継で、「ーーーーーーーーーーーーーーーール」というアナウンサーと同じ音で、
両手を挙げて「
ーーーーーーーーーーーーーーーーーゥ」と叫ぶ子供もいる。
なんて絶好調。外人見つけるたびにそんなに叫んでいたら疲れるだろうに。


(ウガー)←私の心の中のおたけび。
・・・だんだん耳につくようになってくる。だんだんムカムカしてくる。だんだん頭にくる(▼▼)!!

大体にして気温40℃で朝から何も食べていなくてヘタレ気味なのに…。
なんてクレイジーなんだ、エチオピア。


エチオピアの人口ピラミッドは見事な富士山型。
つまり、子供の数が大人よりも圧倒的に多い、典型的な発展途上国型なのだ。
どこに行っても子供だらけ。私を見つけた100%の子供が口を揃えずに
You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! You! …


・・・ウガー(▼▼)!!


でも、そのうち気がついてきた。

外国人に興味があるから声をかけてくるんだ。
無視したらずっと声をかけられるのは当然だ。

私もだんだん要領を得てきたようで、「You! You!」と言われたら、
ニッコリして手で「チャオ」でもしてあげる(^-^)w゛
子供は恥ずかしそうに嬉しそうに喜んで、
はにかみながら子供たち同士でキャーキャーと言っている。

なんだ。私は日本人女性に取り囲まれるヨン様状態だったわけですね(ホントか!?)。



後日タムラに聞きました。「何でみんなYou Youって言うんですか?」
そしたらタムラは「エチオピア人が最初に覚える英語がYouなんだ」って教えてくれました。
ほほ~、っと、何だか納得(^^;;



まぁ、そんなわけで、エチオピアを楽しく過ごすツボを1つ覚えた私なのでした(^^)




*

エチオピア南部の街ジンカは標高が低いこともあって、暑いんです。
気温40℃、ジンカの人々のYouYou攻撃にへとへとになって、私は15時ごろ宿に戻りました。

そういえば今日は何も食べていない。…
GOHホテルの隣にあるORITホテルので、炭酸水アンボを買いました。
500mLビン入りで、1つ3ブル(39円)です。



ぷはーっ( ̄▽ ̄* 生き返る~!

アンボはエチオピアの泉から採取される天然の炭酸水
もとが軟水なこともあって、ペリエよりも美味しくて飲みやすいんです。

ところで、1本しか持ってきていないタオルをボレ空港に置き忘れてきたまぬけな私は、
ORITホテルのお土産物売り場でタオルを買いました。



こんなエチオピアンカラーのタオル。25ブル(325円)を20ブル(260円)にしてもらいました。

そのままジンカの道を歩き、ジンカのバスターミナルへ行きました。
ムルシ族やハマル族の集落をめぐる旅を終えて再びジンカに戻ってきたら、
今度は首都アディスアベバまで移動しなければならないから、
今日のうちにバスの時刻などを収集しておこうと思いました。

バスターミナルって言っても、
家の敷地みたいなところににバスが1台止まっているだけなんだけどね(^^;;;


ところで、エチオピアで面白いことを一つ。
それはエチオピア時間の存在です。

私が「すみません、私はアルバミンチに行きたいのですが、
バスは何時に出発しますか?」と聞くと、エチオピア人は

「Twelve o'clock」
って答えるんですよ。

そしてこれが
「朝6時」
という意味なんです。ほへほへ~~(@@)


また別の人に「朝は何時に来たら開いてますか?」と聞くと、エチオピア人は

「Five o'clock」
って答えるんです。

そしてこれは
「朝5時」
という意味だったんです。あう~~(ーー)


つまり、6時を0時(12時)とするエチオピア時間と、
6時は6時であるヨーロッパ時間が混在しているエチオピアでは
「Eleven o'clock」が11時だったり5時だったりする(!)んですね。

なので私はいつも
「Is it Europian or Ethiopian?」
「Is it Morning or Evening?」


の2点を必ず必ず必ず必ず確認していました。
これからエチオピアに個人で行かれる方は、是非参考にしてくださいね(*^-^*)


ということで、アルバミンチへバスが出ていることを確認終了☆

一応、ジンカからアディスアベバまでの飛行機のチケットを買ってあるのですが、
もし、勇気とチャンスと時間があれば、陸路でアディスアベバへ向かい、
途中、悪評高いアルバミンチ、シャシャマネ、ソドなどの街のどこかに滞在することになるかもしれない、
そんな覚悟ももちつつ、バスの時刻を確かめておきました。



*

バスターミナルを出て、何となく寂しくなった私は、
もう一度ビッグマーケット方面へ歩くことにしました。

てくてくとジンカの街を歩いていると、今度はお皿をはずしたムルシ族に出会いました。

ほほう~、ムルシ族の下唇はこうなっているのね~と、1枚パチリ☆
(しかも子供のカメラ目線が完璧すぎ、笑)



↓拡大↓



こういう状態になることが、ムルシ族の女性の美人の証拠なのだそう。
すごいですねー、唇だけじゃなくて、耳もすごい!


*

再びムルシ族に会えた私は、何だかすごく大きなことをし終えた充足感でいっぱいです。
(単に疲れてきただけか?)

少しずつ慣れてきたジンカの街で、メインストリートから外れた小路を歩いたりしながら
めいっぱいこの街を散策しました。

少しずつ陽が傾いてきて、黄昏の風景が目に入ってきます。




夕暮れの異国情緒そのもの。
マーケット風景もまだらになってきました。



どこへ行くのか、牛やロバやヤギが、どこかへ歩いています。
つまり道は牛フンやロバフンやヤギフンであふれています。
くさくないんですけどね、踏んじゃうんですよね(^^ゞ



街中いたるところで出会う子供たち(先ほどのYouYou攻撃がスゴイ彼ら)の笑顔はかわいい!
(デジカムの画面を彼らに向けているので、彼らは動く自分の姿に喜んでいるんです^^)

そして私は、明日のために100ブル札を1ブル札×100枚に両替して
(この両替はどの店でも嫌がられ、困難でしたが…)、16時に宿に戻りました。

*

GOHホテルのよいところは、何と言っても人の良さにありました。

食事を作る台所を訪ねてみると、食事係のおばあちゃんがブンナ(コーヒー)をご馳走してくれました♪



エチオピアはコーヒー発祥の国です。
日本に茶道があるように、エチオピアのコーヒーの淹れ方にも「アボル・ブンナ」というしきたりがあります。
おばあちゃんは私に簡単な「アボル・ブンナ」を披露してくれ、濃いコーヒーを淹れてくれました♪
朝から何も食べていないお腹にずっしりきました(^^ゞ



GOHホテルのカフェです。
カフェとは言っても、ベンチが置いてあるだけ。
この雰囲気が超たまらない~\(^^)/



このほかにもこの宿にいたみんなと仲良しになっちゃって、嬉し(*^^*)♪



*

さてさてさて、今日やることをやり終えた私はやっと落ち着いたので、お腹がすいてきました。
(今日は何も食べていないのに、さっきまでは衝撃満載だったので、お腹がすかなかったんです)
GOHホテルのレストラン(というより食堂?)で、エチオピアの主食「インジェラ」を注文しました。

インジェラというのは穀物テフの粉を水で溶いて菌で醗酵させて、薄く焼いたもの。
すっぱくて、ぶにょぶにょしてクレープ状という不思議な食べ物です。

 

直径50センチ(!)ほどのインジェラの上に具を乗せて食べます。
食べるときは手でインジェラをちぎって具をインジェラでつかんで巻いて口に入れます。

写真のように具を何種類も乗せたものは、インジェラバイヤイナトと言って、
鶏の煮込み、羊の煮込み、豆の煮込み、揚げジャガイモ、緑の野菜の塩漬け、淡色野菜の酢漬け、
そしてアクセントにバルバレという辛いペーストがちょこんと乗っています。
直径50センチのインジェラに具だくさん、8ブル(104円)!という安さでお腹いっぱい~\(^^)/

ちなみにエチオピアは、ビールのレベルが高い!!\(^^)/

この写真のビールはベデレビール、1ビン3.5ブル(45円)という安さで味はベリーグッド!

インジェラバイヤイナトもとっても美味しいし、ビールもとっても美味しいし、両者の相性もバッチリ☆
気持ちよくビールを2本も飲んでしまいました(^^ゞ ←飲兵衛

お腹がはじけそうなほどお腹いっぱいになって酔っ払って、本日の食費はお酒込みで194円
安いねっ(*^o^*)



*

部屋に戻り、早速2日ぶりにデジカムを充電。そして洗濯とカメラの掃除。
夜10時、通電が切れたので部屋が真っ暗になりました。



ろうそくはエチオピアの旅に必須です。

そして、もう一つの必需品が手ごわいダニ対策のためのサバイバルシート



写真のようにベッドを枕ごとアルミ蒸着シートで覆い、明日着る服を寝巻きにして、ウィンドブレーカーを着る。
アルミの上でゴロンゴロン、まるでホイル焼き状態(^^ゞ
肌には虫除けスプレーと虫除けジェルを満載につけて、昨日3時間しか寝ていない分、ぐっすり眠りました。







* * *




「訳の分からない旅をしたい」と思って、たった1人で飛びこんできたエチオピア。
その期待というか恐れを裏切らないエチオピアの初日でした。
実は、この後の旅は、もっともっと、ものすごい驚きの連続になるんですが。


明日はいよいよムルシ族やカロ族など、古代裸族の集落に乗り込みます。

明日はどんなにいい夢が見られるでしょう・・・(*^-^*)

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