女神の星、金星


明けの明星(あけのみょうじょう)、宵の明星(よいのみょうじょう)。
澄んだ空に煌々と輝く美しい惑星の姿に、自分の心がすがすがしくなる想いでいっぱいになります。

これらはご存知金星の2つの呼び方です。そしてこの呼び方の通り、金星は夜中に見ることができません。今日はその点について考察していきたいと思います。

なお明けと宵を同時に記述すると混同しやすいので、宵の明星に焦点をあてていくことにします。

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金星は内惑星(ないわくせい)、つまり、地球よりも内側で回る惑星です。

そのため地球から金星を見るとき、金星は常に太陽の近くに観測されることになります。

金星が最も太陽と離れる角度を最大離角といいます。金星の最大離隔は片側約45°です。たとえばこの図で示しているものは、金星が太陽の東側に見える最大角度なので、「東方最大離角」といいます。

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ということは、金星は約45°以上太陽から離れることはできないわけです。

ちなみに、黄道1周360°=24時間ということは、1時間あたりの移動角度は15°ですよね。
金星の東方最大離角が約45°ということは、この図のように、金星は最大でも日没後3時間しか輝くことができないのです。

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「最大」という言葉がポイントで、最大離角よりも離角が小さいほど日没後すぐに金星は見えなくなってしまいます。

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金星は、その周辺の星よりもひときわ明るく美しい。英語ではVenus(ビーナス)と呼ばれ、キリスト教ではルシフェル(光をもたらす者という意味の天使)として呼ばれ、ひいてはほたるの発光に関与する酵素がルシフェラーゼと呼ばれるところにまで、金星の輝きが引用されています。

金星の明るさは-4~-5等星。春の大曲線に含まれるうしかい座アルクトゥルスが0等星なので、そのおよそ100倍も明るい計算になります。


2人旅の中で、モーリタニアのシンゲッティといった場所で宵の明星を見てみたいと思っています。日没後すぐに-4等星級の星を探せばよいわけですね。

サハラの砂の上に腰をおろし、オレンジや紫紺のグラデーションが美しい夜空を見上げ、疲れを癒しながら女神の星を一緒に見る・・・
なんて、ロマンティックで素敵なことでしょう!
03Feb2007