グルジアは欧州?
グルジア
グルジア第二の都市クタイシ近郊にある世界遺産指定の修道院を訪問。見学後、外観の美しい修道院を上から見たいと裏山に登ると遠方に雪山が見えた。案内をしてくれた青年がその山を見て、「あれが欧州最高峰のエルブルス山だ。」と誇らしげに教えてくれた。二説あるのを知りながら私が、「欧州の最高峰はアルプスのモンブラン、ここはアジアだろ。」とからかうと、彼は何をばかなという表情で、グルジアは欧州だと主張する。コーカサス山脈(エルブルスを含む山脈)の向こうの平原が欧州とアジアの境界だとそれに答えると、彼は呆れた表情をし、「何の根拠があるの?サッカーのワールドカップ予選だって欧州として参加しているんだ。」と力説する。スポーツ界はサッカーだけでなく、ほとんどの競技でグルジアを欧州として扱かうが、それは地理的にアジアのトルコやイスラエルも同じこと。彼の言い分もたいした根拠ではないが、私の主張も記憶に頼るもので返答には困った。
帰国後、高校時代の世界地図帳を確認すると、やはりコーカサス山脈の北にある平原に大州界なる欧州とアジアの境界線がある。ところが新しい地図帳では何とこの境界線が消えているのだ。驚いて色々調べたところでは、欧州とアジアの境界はコーカサス山脈との考えが一般化しつつあるよう。それでもグルジアはアジアに含まれる。
月日は流れ、今このグルジア出身の関取黒海が初の欧州出身幕内力士として大相撲初場所を前に話題になっている。グルジアは欧州だとの考えが一般的になったのだろうか。それともスポーツの話題だから?
産経新聞連載
「(新)一国一景」
2004年1月8日分