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ガイドブックを持って行こう!

 97年末、世界一周の最後にアジアに戻って、久しぶりに多くの日本人旅行者に出会った。日本を出てずいぶん経っていた私には、当然ガイドブックがない。インドは英語のガイドブックを現地で購入、東南アジアも先々で英語のものを買ったが、中国やパキスタンは手に入らなかったし、やはり日本語のガイドブックも読みたい。そこでつい日本人に会うとガイドブックを見せて欲しいと言うのが口癖になっていた。

 ところが……ガイドブックを持たずに旅をしている人がずいぶんと多いのである。不思議に思っていたが、あるとき理由が判明した。猿岩石ブーム&深夜特急ブームなるものがあり、その影響なのだった。
 なんで???。猿岩石はお笑い番組である。演技である事が見ていて分らなかったのだろうか?“実は飛行機に乗っていた”などと話題になるようでは、彼らが本当に旅をしていると思った人が多かったのかもしれないが…。私は旅行中であまり番組を見てないけど、「旅先で会ったら良いホテルに泊まっていた」なんて話しは幾度も聞いたし、もっと詳しい裏話もスタッフ関係者からも聞いた。
 深夜特急の沢木さんはガイドブックのない頃に旅したのだ。その類を持ってなくて何の不思議もない。なんで色々情報がある今の時代にそんなまねをするのだろう?

 あまりに不思議なので持たずに旅をしていた幾人かに質問をしてみた。ガイドブックを持たない人は色々とカッコをつけがちだが、ほぼ2通りの答えに分かれた。
 一つはガイドブックに対する不信。???。ガイドブックが信用できないと言うのは当然の事なのだ。情報は日々変るというのもある意味では当然の事。それ以上に元々の間違いが多いが、それもまあ仕方ない事。実際には行っていないのに聞いた話しで書いている事は多いし、私の会った取材記者でかなりのおばかさんもいた。でもまあ半分以上は正しい事が多いし、あくまでもガイドなのだ。信用するものではなく参考にするものである。読めば現地での苦労や危険は半減し、その分色々なものが見れ、さまざまな経験をする余裕が生まれると言うものではないか。
 もう一つの答えは、人と違う事をしたい。???。こういうことをいう人に限って日本人が多い宿で会っていたりする。ガイドブックなしで旅をすると他の旅行者から情報を仕入れざるを得ないと言う事情は分かる。しかし、結局それは他の人と同じことしてるのじゃないかい!他人と違う事をしたければこそガイドブックを読んで研究しなきゃいけない!それでわざとはずせばよいのである。(他人と違う事がしたければですよ)
 もっとも、わざとはずさなくても細かく旅するとほとんど他の旅行者に会うことはありません。たとえそれが旅行者の多いアジアでガイドブックに載ってる場所でもです。

 旅立つときにガイドブックを持っていくかどうか迷ってる人、持っていきましょうよ。絶対に役に立ちます。そしてそれをちゃんと読んで行きましょう。現地で読む時間がないときもあるし、一度目を通していると理解が全然違ってきます。
 できれば他のガイドブックにも目を通しておいた方が良いです。比較する事によって間違いが行く前から分かるところもあるし、知らなかったところに行きたくなるかもしれません。人によって見方が違うのも分かってきます。そういう準備をしてから現地に立つとずいぶんと違いますよ。
 そしてもう一つ、旅が終わっても持って帰りましょう。もういらないと思ってもあとで必要になったりしますよ。10年経つと記憶もかなり薄れてきます。じっくり使ったガイドブックならふと見たりすると懐かしい記憶がよみがえったりするものです。これは私の反省でもあります。最初の頃ガイドブックを捨てたり、古本屋で売ったりしてましたから(タイなどで高く売れる)。

 ついでですがカメラもぜひ持っていきましょう。帰国して数年は記憶も鮮明ですが…10年経つと写真が記憶の薄れを補完する大切な品となります。

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