世界230ヶ国で各国料理を学ぶ旅をしました!
写真つきで紹介します
2542料理を掲載。
< 掲載マイルール主撮影機種:
-Nikonデジタル一眼レフ D200
-AR Nikkor 24-85mm 1:2.8-4D
-元写真サイズ3872×2592×24 BPP
タジキスタンの筆頭国民食、クルトップは「バターを取ったあとの牛乳を発酵させてパーイ(ヨーグルト、≫こちら)にし、水切りして団子にして乾燥させた物」、つまり牛乳の保存食です。用時お湯に溶かして(戻してもパーイとは呼ばずクルトップと呼ぶ)、シュルチョイ(≫こちら)と同様、バターを溶かしてちぎったノン(パン)を浸していただきます。野菜を乗せたご馳走クルトップもあります。
シュルチョイの定義は「茶+ミルク+水(お湯)+塩」、つまり、中央アジアの遊牧文化に広がるミルクティーです。ここにバターを落としいれ、溶けて表面に浮かんだら、ちぎったノン(パン)を浸していただきます。
中央アジアでは各国で実に酷似した発酵乳が作られています。これはバター分を取り除いた後の獣乳を温め、種菌を入れて放置発酵させたもの。パーイはパミール語、チュルゴットはタジク語です。日本語ではヨーグルトですね。
クルチャは小さな円盤状のパン(大小に関わらずリピョーシカとかノンと言ってしまう人もいます)。シュルポは、あまり甘みの出る野菜を使わず、肉や野菜でしょっぱめに作った澄んだスープ。このシュルポはタジキスタン料理の中では最も大事なものの1つではないでしょうか。どこに行ってもシュルポはあるし、逆に田舎の食堂ではノン(パン)とシュルポしかないところも多いから。
この料理面白いなー! シュルポ(≫こちら)と比較すると、類似と相違点が面白い。肉やじゃがいもや野菜と同じ材料を使っても、シュルポは水を多くスープとして仕立てるのに対し、ソウスは肉とじゃがいも主体で汁気少なく仕上げる・・・そうなんです、タジキスタンのソウスは日本で言うまさに「肉じゃが」だったんです。写真は鶏肉の肉じゃがですが、牛肉でもよく作られるそうです。
中国新疆(≫こちら)、カザフスタン(≫こちら)、ウズベキスタン(≫こちら)と一連して共通する、基本的には肉とにんじんの油炊き込みご飯です。ウズベキスタンとカザフスタンでは「手づかみ」という意味の「オシュ」とも呼ばれていることを確認しました。市場で食べると油たっぷりすぎでびびりますが、家庭のオシュは油少なめでほっとしました。
中央アジア諸国には、直径が6、7cmもある大きな蒸しシュウマイがあります。中身は牛肉や羊肉のミンチと玉ねぎで作った餡。カティック(調度が硬くて酸味あるクリーム)をかけていただくのが定番です。写真奥に見えるスパイシートマトジュース(キマエ、キマヤ、ズベラボイ等呼ばれていた)を更にかけるのも好まれています。
中国の「ラーメン」の名が転じて、ラグマンまたはラグモンになりました。他の中央アジア諸国同様、タジキスタンでもよく見られる料理です。肉や野菜のトマト味のスープ仕立てで、仕上げにカティック(サワークリーム)がかけられていました。
ウクライナやロシア料理として有名なボルシュは、野菜の摂れない北方では寒冷に強いビーツを使ったスープでしたが、それが南方に伝播すると、名前は同じでも中身が違ってきます。ビーツが使えなくなるので、甘みをキャベツなどで出し、トマトで赤くするのです。別途紹介するシュルポ(≫こちら)は塩気あるスープで、ボルシュは甘味あるスープと、使い分けられているようです。
もともとコーカサスはグルジア発祥とされる、肉類の串焼きです。高原地帯で遊牧民の多いタジキスタンでは、乳製品が取れる牛や羊を飼育するので、豚肉をあまり使用する習慣がなく、主なシャシュリークは牛肉、そして飼育の簡単な鶏肉となります。意外に羊肉は少ないようでした。こういう串焼きはビールと一緒にいただくのが美味しいですよね。
ピティはアゼルバイジャンの壷入り肉豆野菜スープで、イランのアーブグシュトゥ(≫こちら)と同じ物です。アゼルバイジャンがソ連の一員だったゆえにロシア料理としても定着し、同じくソ連だったタジキスタンにも定着したのだと思います。羊肉や牛肉などがよく使われるのは、それらが乳製品を得るのにも絶好の家畜だから。супは英語のsoup(スープ)と同じ言葉です。
もともとコーカサスはグルジアの家禽料理。でもソ連圏では鶏肉を使うように伝播したところも多いみたいです。チキンを少し吊って乾かし、にんにくやトマト煮にしたものです。写真は仕上げにスライスオニオンとディルの葉。
「包み物」を意味するガルプツィは、肉や米をキャベツで包んだり、ピーマンに詰め込んだりする料理です。特に東欧、コーカサスなどソ連圏とその周辺に広まっていて、タジキスタンにもその影響が浸透しています。タジキスタンらしいのは野菜入りトマトスープに入っていること。ウズベキスタンやタジキスタンでは、麺も米も、こうした特別な具も、たいていこういうスープ仕立てになりますね。
ガローワはロシア語で「頭」という意味。毛を炙り焼いた仔牛か山羊の頭を塩煮にしたものです。頭蓋骨の外の部分は皮下のゼラチン質が美味しいし、目玉そして、1つ1つ知恵の輪のように骨を外してゆくと延髄部分から到達する脳みそが、やはり珍味です。
タジキスタンの食の基本は、円盤状パン(ロシア語でリピョーシカとも呼ばれ、クルチャと呼ぶパン(≫こちら)もノンに含む)。そして飲み物はチョイ(お茶)。お茶は緑茶(タジク語及びパミール語でカブーチョイ)や紅茶(タジク語でチョイフォーミル、パミール語でタールチョイ)です。基本は無糖で提供され、客が好みで砂糖を加えて飲みます。
タジキスタンは山地だらけで、今も遊牧民が生活し、ヤギや羊が放牧されています。ここパミール地方の羊乳酒は、キルギスやカザフスタンで飲んだ馬乳酒よりも美味しいと思いました。このドゥズがヤギ乳ではなく、羊乳を原料としたものであることは確認できました。