アフガニスタンのパロウは、イランのポロ/プル(≫
こちら)が発祥で、アフガニスタン、パキスタンを経由して、インドのビリヤニになっていったのではないかといわれています。写真のパロウは他に肉料理があったので肉なしで、トマトと玉ねぎを使い油で旨みを引き出した炊き込みご飯でした。ブリンジは「米」という意味ですが、パロウを指す単語でもあります。
ナンはパン。イランと同じ形のパンがあるのはペルシャ文化の継承です。家庭で焼くパンにはインドやパキスタンと同じ形のものもあります。グーシュトゥはダリ語で肉という意味で、単にグーシュトゥと言えば「肉の煮込み」を指します。アフガニスタン料理はインド・パキスタン料理に比べ調味料が香辛料に傾倒しすぎておらず、このようにトマト煮込みで仕上げられる料理も多くあります。
アフガニスタンではボロニが人気。定義は「具挟み薄焼き」(薄揚げのことも)。写真のボロニはじゃがいも入り、まさにインドのアルパロタと同じです。チャパティーを作る要領で小麦粉を練ったものを薄く延ばし、間にはマッシュポテトが入っています。
イランやアフガニスタンでオシュ/アシュといえば、ヌードル入りスープを指します。ウズベキスタンやタジキスタンでオシュとは、炊き込みごはんを指すので、その違いが興味深いです。ところで、面白かったのが、その食べるスプーンが・・・お玉サイズ(笑) 何箇所かで食べて、全部これだったから、こういう習慣なのでしょう。
インドでコルマといえば、もったりしたカレーでしたが、調味料が香辛料に傾倒していないアフガニスタンでは、コルマは、単に「煮物」です。まあ調味料が香辛料の国だとカレー自体「煮物」なんだけど。写真は料理名をロビオ(豆)とも呼ぶことができる、豆とじゃがいものトマト煮込みです。アフガニスタンではコルマはパラウ(≫
こちら)にかけて、ワンディッシュとしても食べられています。
マントゥは、恐らく中国起源の、中央アジアに広まる大きな蒸しシュウマイです。アフガニスタンが国境を接する6ヵ国のうち半分はソ連構成国なのでこういう食文化の流入が見られているのでしょう。写真は黒くて不気味に見えるかもしれませんが、アフガニスタンに限らずマントゥを黒胡椒で仕上げることは他国でも見られます。チャカー(濃厚ヨーグルト)をかけるのも定番の味付けです。
中央アジアでは各国で実に酷似した発酵乳が作られてきました。アフガニスタン北部は家畜乳を利用する文化があり、タジキスタン南部と同様のヨーグルトが同じ言葉で呼ばれています。
モイー(左)、シールブリンチ(右) ...アフガニスタン
モイーは魚という意味で、写真はツナ缶をほぐしたものを油で炒めた料理です。シールブリンチはロシアやソ連構成国で見られるミルク米粥です。アフガニスタンが国境を接する6ヵ国のうち半分はソ連構成国なので、こういう食文化の流入が見られているのでしょう。
チップスはフライドポテトのこと。街角で軽食を出す店は、ダリ語と英語のミックスで「チップスホナ」(チップスの家)と呼ばれ、それだけ庶民の気軽なお茶請けとしても、フライドポテトは重要なのです。戦争ばかりしていて食文化の発展が著しく阻害されているアフガニスタンでは、みんなこうして、シンプルな揚げイモなどを食べているものです。
ダリ語で野菜全般をサブズィと呼びます(なんだか、インドやパキスタンではサブジ発音が、アフガニスタンではサブズィ発音になっているように思います)。農耕に強い人々だけあり、畑で収穫された野菜を生で食べることもしています。滞在したのは北部アフガニスタンだったので、ディルなどソ連の影響で広まったであろうハーブ類もいただきました。
チョイ(お茶)、おもてなしセット ...アフガニスタン
「客人のもてなし」はアフガニスタン人にとって極めて大事なこと。もてなしの場に欠かせないのがお茶とお茶請けです。お茶は緑茶(チョイサーブス)や紅茶(チョイシオ)。お茶請けはノン(パン)のこともありますが、写真のナホッド(豆)、キシュミシュ(干しブドウ)、ボドン(桃仁、アーモンドっぽい)、チョクリト(キャンディー)も。チョクリトって名前がチョコレートみたいですよね。
スイカ。夏の時期の、身が真っ赤に染まったスイカは実に美味しい。でもアフガニスタンでは、「お茶とスイカの食べ合わせは危険」とされているようで、要注意。
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