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スーダンを旅すると、きっと何度も何度もフールを食べることになると思います。つぼ型金属容器で蒸気を封じながら、そら豆をじっくりじっくり水煮にしたものです。基本的にはこれに油(ピーナッツ油が多い)をかけていただきますが、写真のように白チーズおろしや角切りトマトを乗せてくれるところも結構あります。アエシ(パン)をちぎってフールをすくっていただきます。
キスラまたはバラディ、ウェイカまたはタゲリーヤ ...スーダン
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キスラまたはバラディは穀物(ソルガムなど)の粉で作る大きなクレープ。ウェイカまたはタゲリーヤは、乾燥オクラパウダーで作るとろとろシチュー。この2つの組み合わせは見事にはまります。美味しいです。あまりによくある組み合わせなので、日本人がカレーライスと一気に言うのと似た感覚で、スーダン人は「キスラウェイカ」とも言います。
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エリトリア発祥の食べ物なので、エリトリアに近い地域(スーダン東部など)でよく食べられます。特筆すべき点は、「ゆで卵の乗ったジグニはお祝い料理の定番」であることです。玉ねぎと肉をじっくり炒めて、唐辛子ペーストとトマトを入れて、炒め続けて甘みを旨みを出す・・・実は私はこのジグニこそ世界で一番美味しいトマトソースではないかと密かに思ったりもしています。
カンモニア ...スーダン
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羊などの内臓(腸や肝臓など)を細かく刻んで玉ねぎと共に油で炒め、唐辛子ペーストとトマトを少々足してごった煮にしたもの。旨いです。
ルックマまたはアシーダ、ムラ ...スーダン
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スーダンはダルフール地方(今は紛争地で有名なスーダン西部)の伝統料理です。ダルフールに接しているチャドでも同じ名前の料理を食べました(≫
こちら)。このルックマまたはアシーダは、穀物(ソルガムなど)の粉をお湯で練って成型したもの。周囲のムラはそれに添えられるシチュー全般を指す言葉で、今回は美味しい羊肉のトマトシチュー(よく煮込まれ色が黒い)でした。
ギブダ、アエシ ...スーダン
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ギブダはレバーのこと。羊肉やヤギ肉をよく食べるスーダンでは、これらのレバーもよく食べられています。アエシは少し膨らんだスーダンの主食の薄いパンです。
アエシ、ボルティ ...スーダン
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魚自体は「サマック」でも、エジプト人やスーダン人にとって「ナイル河のティラピア」は特別な位置づけで「ボルティ」という特別名称がつけられています。(彼らの口からはボンディと聞こえるが)。ふっくらした白身の魚は通常から揚げで食べられます。骨が多いけれど美味しい。ラムン(レモン)を絞って召し上がれ。主食のパン(アエシ)と共に。
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ラハマとは「肉」という意味のアラビア語です。炭火焼きから写真のような料理まであります。写真は軽く炒めた後ににんにくや塩、少々の水を入れて、水がなくなるまで火にかけたもの。お肉がとびきり柔らかくて、すごく美味しくて、感激しました。
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刻みモロヘイヤスープといえばエジプトが有名ですが、スーダンはエジプトに占領されていた時期が長いのだから同じ料理があって然るべきですね。こちらは汁気少なく、ねばねばを楽しむ料理になっています。
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ショルバとはスープの類全般を指すアラビア語ですが、スーダンでショルバと注文すると「ヤギまたは羊の足の煮込み」がよく出てきます。ゼラチン質がたっぷり溶け出して、とろみさえ感じる美味しいスープです。
ファスーリャ ...スーダン
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インゲン豆のトマト煮です。北アフリカのみならず、アラビア半島も含め、アラブ圏で広く見かける料理です。
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英語のできるスーダン人に「ダマアって何ですか」と聞いたら「トマトソース」という答えが返ってきます。玉ねぎみじん切りを肉片少々(だしが出る)と共によーく炒め、トマトを足して時間をかけて炒め煮風にしたもの。濃厚な旨さと天然の甘さがたまりません。
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レンズマメのシチュー(ポタージュのような食感)もアダスと呼ばれますが、朝食ではこのように、ちぎったアエシ(パン)にレンズマメシチューをかけ、玉ねぎ青菜トマトのざく切りと油を足して混ぜた、お腹にたまる和え物もアダスと呼ばれます。最初からパンをちぎって何かを和えてしまう料理は、スーダンから北東部アフリカ(ジブチやソマリア)にもよく見られる習慣だと思います。
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ジャバナとはフラスコ型のコーヒー容器のことで、その名が転じてコーヒーそのものもジャバナと呼ばれています。予めコーヒーを作っておき、注文が入ったらジャバナ容器に入れて炭火にかけて熱々にし、ヤシ繊維で口をふさいで(ろ過装置になる)客に提供します。ジャバナには生姜(ジャンザビ)が入るのが普通です。砂糖の上に注いで甘くしていただくと、暑さの疲れが飛んでいきます。
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なすのガクのような形のカルカデは、色が赤くて鮮やかです。クエン酸を豊富に含むので、カルカデを煮出したお茶に砂糖をたっぷり入れて、甘酸っぱい赤いお茶として飲まれます。エジプトのカルカデもスーダンからの輸入が多く、そういう意味で、スーダンはカルカデの総本山的ポジションにあるのです。
シャイ(左)、シャイビラバン(右) ...スーダン
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アラブ圏らしくスーダンでは甘い紅茶が常飲されています。紅茶はシャイ、ミルクティーはシャイビラバン(ビ=with、ラバン=牛乳)です。その他シャイビナアナアというミントティー(ナアナア=ミント)もポピュラーです。
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