ハマームマシュウィ ...エジプト
ハマーム=ハト、マシュウィ=グリル。エジプト名物、ハトの開きのあぶり焼きです。骨が細くて柔らかいので、骨までばりばり食べられるんです。確かに食べにくいけれど、鶏肉よりも野趣溢れる濃厚な味がしました。ハトを常食する国は少ないですよね。エジプトではまた内臓を除去したお腹に米などの具を詰める「ハマームマハシ」も知られています。
エジプトでは「固まり肉の串焼き=ケバブ」で「ひき肉を串に密着させて焼いたもの=コフタ」となります。香ばしくあぶられていて美味しいです。ケバブを置く店にはビールが置いてないことが多くて(宗教の関係で)、非常に残念と思うこと多々!
エジプトでは「固まり肉の串焼き=ケバブ」で「ひき肉を串に密着させて焼いたもの=コフタ」となります。通常は羊肉が用いられ、塩や香辛料が予め練りこまれている分焼き上がりの美味しさは格別! 私はケバブよりコフタのファンです。
シシタウーク ...エジプト
エジプトでは「肉の串焼き=ケバブ」ですが、鶏肉の串焼きはシシタウークと呼びます。鶏肉自体はフェラハとかダガーグと呼ばれるので、これは鶏をタブークと呼ぶトルコ料理が広まった表れだと思います。レストランでは立派な1皿に、ファストフード店ではシシタウークをサンドイッチにしてくれます。
フェラーヘまたはダガーグ、ファスーリャ、サラダバラディ、ショルバ、アエシ、オルズ ...エジプト
エジプトでポピュラーなチキン料理はこんなセットです。手前から時計回りに、フェラーヘまたはダガーグ(炙り焼きチキン)、ファスーリャ(インゲン豆のトマト煮)、サラダバラディ(何でもありの家庭のサラダ)、ショルバ(肉類のゆで汁スープ)、アエシ(薄パン)、オルズ(細い麺と油を入れて炊いたごはん、通常なんと日本米ですよ!)。
サマックまたはボルティ ...エジプト
アラビア人に「これは何という魚ですか」と質問しても「サマックはサマック(魚は魚)だ!」と言う。でもそんな中であってもエジプト人やスーダン人は「ボルティ」という「ナイル河のティラピア」の位置は確立させています(彼らの口からはボンディと聞こえるが)。ふっくらした白身の魚は通常から揚げで食べられます。骨が多いけれど美味しい。ラムン(レモン)を絞って召し上がれ。
コプト教には精進食の日が定められており、肉がなくとも炭水化物をがっつり食べる料理としてコシャリが生まれた。でも今やムスリムにも愛されるエジプトの国民食です。パスタ、ライス、煮豆を盛り合わせ、揚げ玉ねぎ、タレは左からサルサ(トマトソース)、シャッタ(唐辛子コリアンダー水)、ダッアまたはカリ(にんにく酢水)。さあよく混ぜて食べましょう、コシャリは混ぜるという意味だから!
モロヘイヤ、モロキーヤ ...エジプト
エジプトの国民的スープ、モロヘイヤ。にんにくを油で揚げ、チキンストックを投入してぐらぐら煮て、モロヘイヤ(ジュート)の葉を細かく刻んだものをたっぷり入れたもの。ねばねばがとろみになっていてめちゃくちゃ美味しいです。油がかなり浮くのがエジプト流ですが、緑黄色野菜の栄養は油と摂取してこそ吸収されるのでこれで良いんです。
ターメイヤ ...エジプト
シリアやイスラエル界隈のファラフェル(≫
こちら)と大雑把に言えば同じ料理で、豆を潰してパン粉なしのコロッケにしたものです。ファラフェルにはヒヨコマメやインゲン豆が用いられ、ターメイヤにはソラマメが用いられることが多く、一応の境界線を持っているのではないかと私は思います。コリアンダーという香辛料で香りもさわやか。街角サンドイッチの定番の具です。
フール、トルシーまたはミーハレン、アエシ、サラダバラディ ...エジプト
エジプトではポピュラーなフール料理はこんなセットです。手前2つがフール(ソラマメの煮豆のオイルがけ)、奥は左からトルシーまたはミーハレン(大根やにんじんの強烈に酸っぱいピクルス)、同じ皿にバサル(生玉ねぎ)、アエシ(薄パン)、サラダバラディ(何でもありの家庭のサラダ)。美味しくて止まらないのが不思議なくらい素朴なセットです。
タヒーニ、タヒーナ ...エジプト
タヒーニは練りゴマとレモンとにんにくがなめらかにペーストになったもの。ちょっとアエシ(薄パン)につけるだけでもご馳走ですし、各種サンドイッチ屋ではタヒーニをパンの内側に塗ってから具を詰めたりもします。エジプトでは「サラダ」の位置づけでもあります。
モロッコで有名なタジン(≫
こちら)とは、とんがり蓋つきの土鍋のことでした。エジプトでは蓋なしの陶器の器を指します。エジプトのアラビア語では「j」を「g」の音で読むためタジンではなくタギンになっています。肉や魚、煮野菜、予め作っておいた美味しいソース類を注文が入ったらタギン皿に入れ、あとは写真のようにとにかく強熱! アツアツのごちそうとなって食卓にサーヴされます。
アラビア語の綴りに「m・s・q」が含まれることから、ギリシャ(≫
こちら)やトルコ(≫
こちら)のムサカと元は同じ料理。でもエジプト版はナス&トマトの油煮なんです。エジプトのアラビア語では「q」を「a」の音で読むから、「m・s・a」、つまり「ム・サ・ア」のように発音されます。
シャクシューカ ...エジプト
シャクシューカとは北アフリカ~イスラエルあたりまで分布する、トマトソースと卵を合わせた料理です(トルコではメネメンという名前で存在します)。イスラエルでは「トマトソースにぽっとん卵」だったのにエジプトでは「トマトソースで炒り卵」。アエシ(薄パン)の良い友です。
エジプト人の基本的な飲み物は、甘い紅茶です。砂糖をたっぷり入れて飲むのがエジプトの暑くて乾いた気候下では美味しいです。なお中国の「茶」を起源とする飲料で、トルコあたりまで「チャイ」と呼ばれることが多い一方で、アラブ圏では「シャイ」と呼ばれることが多いのは、アラビア語に「チャ・チュ・チョ」の音がないから。それを知って呼び分けができると、ちょっと楽しいですね。
イスラム教徒が9割を占める国であるのに、旅行者がこんなにも気軽にお酒を買い求められ、飲める国もそう多くはないのではないでしょうか。古典的キリスト教である「コプト教徒」が酒類販売網を確立してくれたお陰です。美味しいお酒をエジプトで楽しんだら、ひとときコプトに感謝。ビールだったらステラがお気に入り。
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