бешпармак(ベシュパルマク) ...カザフスタン
カザフスタン人の皆が「これぞカザフ料理の代表」と言う。ベシュ=5、パルマク=指。昔フォークなどない時代、5本指で掴んで食べたことに由来します(そんなん言うたらいろんな料理がベシュパルマクやん、とは突っ込まずにおく)。現在の定義は「幅広麺を肉の煮汁の旨みで調味したもの」。玉ねぎは旨み増強必須素材。丼に入ったつゆだくのベシュパルマクもうどんみたいで美味です。
шашлык(シャシュリーク、シャシーリク) ...カザフスタン
他の国ではケバブとも呼ばれる肉や魚の串焼きです。カザフスタンのスーパー広告チラシを見ると、кебаб(ケバブ)とшашлык(シャシュリーク)は呼び分けられており、質問をしたところ、原義はタンドール(釜)に封じ込めて焼くのがケバブ、炭火オープンエア焼きがシャシュリークとのことでした。パンとスライス玉ねぎの付け合わせが定番です。
Котлеты(コトレティ) ...カザフスタン
日本語のカツレツに似た音だけれども、ソ連構成国のあたりで「カツレツ」っぽい名前を持つものはパン粉の衣を持たないので、すなわち「ハンバーグ」なのです。写真のものは表面に粉をまぶし、ムニエルのような、ちょっとカリっとした食感を出していました。
шпик(シュピック) ...カザフスタン
おお大好きなサーロ(≫
こちら)発見の巻♪ 豚の脂身をスパイス漬けにしたものです。味のメインは脂身の味。ちょこっと食べてはウォッカをクッと口に流し込むのが似合う味。私は唐辛子やパプリカ粉の風味が利いたシュピックがかなり好きです。
гуляш(ゴリヤシュ)またはжаркое(ジャルコエ) ...カザフスタン
「トルコ」って今のトルコ共和国だけじゃない。「本当のトルコ」は中国・モンゴルの地域で生まれ、ユーラシア広域を支配した。ゴリヤシュはそのトルコ圏一帯に広まる「肉の炒め物」です。ロシアがソ連圏に広め(ロシア語でジャルコエ)、オスマントルコが西に広め、あるいはモンゴルがユーラシア中に広め、世界に広くゴリヤシュ/グラーシュが存在します。
куырдак(クイルダク) ...カザフスタン
カザフスタンの伝統料理の1つ、もつ煮です。羊肉(時に馬肉や牛肉なども)の腸、レバー、心臓などなどに、じゃがいも、砕き唐辛子、玉ねぎが入り、とろんとろんに煮込まれています。味付けは、日本のビーフシチューのルウを薄く使ったような感じでした。それだけ、臓物から旨みが出ているということですね。
тушенное мясо(トゥーションノエミャーソ) ...カザフスタン
直訳は「煮込まれた(Stewed)肉」。羊肉を塩と油で煮込んだ料理です。写真はガルニエラム(гарниром、付け合わせ)としてмакароны(マカロニ)をセレクトしました。肉汁いっぱいのスープに、スライス玉ねぎとマヨネーズの味が加わり、パンとの相性が良いのです。ソ連圏はトッピングのディルがほっとする風味をもたらしてくれます。
плов(プロウまたはプロフ)、またはплое(ポロエ) ...カザフスタン
中国新彊から中央アジアにかけて分布する、狭義には肉とにんじんと多量の油を基本的に使った炊き込みご飯です。多量の油が肉とにんじんの旨味を引き出し、塩だけの味つけとは思えない美味しさが完成。なおプロフはピラフ、プラオ、パラウ等、ひいてはビリヤニやパエリアとも語源は同じで、単に「油を使った炊き込みご飯」となると、世界で相当広域に存在する料理となります。
гуйру-ганфан(グイルーガンファン、写真左)、гуйру-лагман(グイルーラグマン、写真右) ...カザフスタン
右がラグマン、中国新疆の拉面または拌面と同じもの。左がガンファン、ラグマンの麺がごはんになったもの。どちらも赤や緑のピーマンや羊肉のトマト汁仕上げの炒め物が麺またはごはんに乗っています。ごはんとガンファンは発音が似ていてちょっと感動! なおグイルーとは具が大きいまたは汁少なめのことで、具が細かいまたは汁だくだとスイルー(Суйру)と呼ばれます。
манты(マントゥイ、マンティ) ...カザフスタン
中央アジア各国(および一部その周辺)で共通して見られる、非発酵の小麦粉の皮で肉などの具を包んで蒸した、「大きな蒸し餃子」です。長い辺が7、8cmくらい。カザフスタンでは牛肉がよく使われています。ここは「イスラム教の国は羊肉」って端的に言っちゃダメな好例ですのよ。
самса(サムサ) ...カザフスタン
シルクロード圏や香辛料交易の各地など、ともあれ世界各地にサムサ(サモサ)は分布しており、大きさも作り方もまちまち。共通点は、肉などの具を小麦粉の皮で三角か四角に包んで焼くか揚げるかしたもの、という具合です。中央アジアのサムサはサイズが大きいです。写真はパイ生地の中に、羊肉と玉ねぎがとろーん♪
кимчи(キムチ)、ха(ハー)、またはбалык(バルック) ...カザフスタン
昔ソ連の沿海州(極東部)に朝鮮人が住んでいた。日本人に似た容姿は日本人スパイの発見に支障をきたすという理由でソ連中南部(今の中央アジア)へ強制移住させられ、同時に多数の死者も発生した。カザフスタンのキムチはその朝鮮人と子孫によるもので、魚と人参のキムチが定番。カザフに行ったら是非魚キムチを食べつつ歴史に合掌を1つお願いします。
курт(クルトゥ) ...カザフスタン
カザフスタンは「モンゴル-カザフスタン-キルギス」という一連の文化相同性をもつ遊牧文化圏に属し、乳製品の生産が盛んです。牛や羊の乳からバターを取った後、発酵させてから漉すと、ヨーグルトの固形成分の塊が得られ、それを球形にまるめて乾燥させたものがクルトゥです。昔ながらの、乳を保存食にする知恵。食感はボソボソ、味は酸っぱい。塩気があるものもあり。
лепёшка(リピョーシカ)またはнан(ナン、写真左)、キフィール(写真右) ...カザフスタン
カザフスタン主食は円盤状パンで、ロシア語(スラブ系言語)でリピョーシカ、カザフ語(トルコ系言語)でナン。また遊牧文化圏ゆえ乳製品も豊富で、写真右のヨーグルトドリンク「キフィール」も人気。トルコのアイラン(≫
こちら)と同様ですが(中央アジアではあまり塩は入れませんが)、歴史上中央アジア全域がトルコ系民族に支配されたので、そういう共通点があるのは当然なのです。
Кымыз(キミス、写真左)、Шубат(シュバット、写真右) ...カザフスタン
カザフスタンは草原の国。そして「モンゴル-カザフスタン-キルギス」という一連の文化相同性をもつ遊牧文化圏の中心の地で、今も牧畜の乳から飲料が作られています。キミス(写真左)は馬乳酒、シュバット(写真右)は駱駝乳酒。アルコール含有量は1~2%程度で、ヨーグルトドリンク風です。味は、馬乳酒は苦味と旨みがあり、駱駝乳酒はまさに美味しい、という具合でした。
квас(クワス、クバス) ...カザフスタン
クバスはソ連圏に広まった発酵飲料です。ロシアではもともとライ麦パンを水に浸して日向に置くことで作っていたもの。南の地域になるほど果実を加える傾向が強いように感じました。写真もその1つで、ベリーの一種を加えて製したクバスである「クバスクロクワ」です。
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