梅菜扣肉(メイツァイコウロウ、mei2cai4kou4rou4) ...中国福建
豚三枚肉の醤油煮スライスをボウルの内側に貼り、梅菜という漬物(日本の高菜漬けに似ている)の醤油旨煮を入れ、お皿にひっくり返します。「扣」=「ひっくり返す」の意味。高菜&角煮の融合のお味は、もちろんごはんに最高に合う! なお民家の梅菜扣肉もいただきましたが、ひっくり返していませんでした。「扣」は今やレストラン的技法で、名前が残存っていう感じなのかもね。
青椒炒肉(チンジャオチャオロー、qing1jiao1chao3rou4) ...中国福建
中国料理が世界的名声を得る一皿となった「チンジャオロースー(青椒肉丝)」は代表的福建料理。福建省内陸部は醤油を上手に利かせた料理の宝庫です。写真はその形から「丝」(細切り)は入れず「青椒(ピーマン)炒肉(肉炒め)」が料理名。中国醤油は独特の甘み/旨みがあり、冷奴など醤油を直接食べるような和食には向かないけれど、炒め物となると真価を発揮するのです。
瓦罐煨汤(ワーグワンウェイタン、wa3guan4wei1tang1) ...中国福建
福建料理は「壷でじっくり煮込む」=「瓦罐」系の系統が得意です。「煨」は「調味料を入れてじっくり煮込む」という中国料理用語。写真はその1つ、人間が入れるほど巨大な壷に手のひらサイズの小さな壷を多数入れて一度に蒸す料理の1つで、目鱼肉泥(ムーユーローニー、mu4yu2rou4ni2)と言います。目鱼(イカ)と肉の泥(すりみ)を壷蒸しにした、旨みが汁に溢れる絶品の一品。
拌面(バンミェン、ban4mian4) ...中国福建
拌面と言えば、西部新疆ウイグル自治区を思い出されがちですが、福建省にも拌面が溢れています。写真は肥肠拌面(フェイタンバンミェン、fei2chang2ban4mian4)、モツの醤油煮をたっぷり麺にあえて食べるもの。この味がかなりマレーシアの福建面(ホッケンミー)(≫
こちら)に似ていたことが驚きでした。やはり福建面は福建人が南方にもたらした料理なのだと実感します。
海蛎煎(ハイリージャン、hai3li4jian1) ...中国福建
美味しいね♪ 生牡蠣をいっぱい使ったオムレツ♪ 日本人の思うオムレツと違う点は水溶き小麦粉(片栗粉やさつまいも粉でも)で炒めてとろりとつなぐこと。卵はあってもなくてもいいんです(写真は卵ありバージョン)。台湾にも、シンガポールにも、同じ生牡蠣のオムレツがある。これは本来海洋民族として陸から海へ出て行った福建人の男達が、周辺国にもたらした賜物なのですね。
扁食(ピエンスー、bian3shi2)、肉燕(ローイェン、rou4yan4) ...中国福建
福建料理の特徴の1つに、「皮が世界一薄いワンタンを巧みに扱う」点があると思います。写真は「燕皮扁食汤(イェンピーピエンスータン、yan4pi2bian3shi2tang1)」豚肉とエビをたたいた餡を1cm球にして、その超超薄皮「燕皮(イェンピー)」で包んだものがスープ仕立てになっています。肉の入った燕皮はまた「肉燕(ローイェン)」とも呼ばれます。
香炸五香条(シャンチャーウーシャンティヤオ、xiang1zha4wu3xiang1tiao2またはシャンチャーウーヒャンティヤオ) ...中国福建
福建得意の「超薄皮」で肉などを包み揚げ。実はシンガポールの「ンゴヒヤン(五香)」と同じ(具などの違いはあるけれど、≫
こちら)。大陸を動いて福建や広東に到達した「客家人」など福建人(広東の潮州は文化的に福建とみなす)は海洋民族としてマレー半島に到達し、福建料理を風土慣習に合わせて根付かせた。「料理は歴史でつながっている」ことを実感できる素敵な料理です。
沙茶面(サーチャーメン、sha1cha2mian4またはサーシャーメン) ...中国福建
ピーナッツだれ(沙茶酱、サーチャージャン)とラー油(辣椒、ラージャオ)を使って作る福建省人気の麺料理です。私がいただいたものはピーナッツがこなれてまるで味噌ラーメンのように美味しくて、懐かしさすら覚えました。味噌ラーメンにラー油たっぷり♪ 日本に帰ってからもこの写真のような配合を目指したいと思いました。
醉月鸡(ツイイェイチー、zui4yue4ji1) ...中国福建
福建料理の名菜には酒に漬けた肉を煮込む料理が多く存在します。「酔っ払い(=醉月)チキン(=鶏)」と日本語で呼びたいこの料理は、骨付きでぶつ切りにした鶏肉に紹興酒などを染み込ませ、きくらげとよく煮込んだ美味しいスープです。素敵。
笋干焖三层肉(スンガンムンサンツンロウ、sun3gan1men4san1ceng2rou4) ...中国福建
干した筍(=笋干、戻して使う)を豚の三枚肉(三层肉、いわゆる豚バラ)と共に炒め煮(=焖)にしたものです。福建料理は沿海部と山間部でまるきり異なる印象がありますが、この料理は山の幸系統。民家では其処彼処で筍を干しており、その滋味溢れる乾物の美味が心に感動の杭を射すのです。老油(濃い醤油)とにんにくと豚ばら肉で風味もばっちりキメ。トッピングはセロリの細い茎。
红烧帯鱼(ホンサオタイユー、hong2shao1dai4yu2) ...中国福建
红烧は日本の文字で「紅焼」、赤く仕上げる料理のことを指します。醤油を日本人が「むらさき」と言うように中国では醤油を赤ととらえるのか、醤油仕立てのことを红烧と呼ぶこともあります。でも日本人が見ると驚く「赤い醤油」を使うこともあります。福建省沿岸部は海の幸の料理が多く、写真はタチウオぶつ切りのから揚げを野菜と赤い醤油と味噌で唐辛子を利かせて調理したもの。
醋溜大白菜(ツーリューターバイツァイ、cu4liu1da4bai2cai4) ...中国福建
福建省は沿岸部と山間部で大きく料理が違います。山間部では、野の幸山の幸を上手に使う、その1つがこういった、野菜の「酢炒め(醋溜)」になります。にんにくのみじん切りと、鶏がらスープ系統の味が、酢炒めに大変よく合っていました。なお「大白菜」は日本の白菜に、「小白菜」は日本のチンゲンサイに相当する野菜です。
红烧豆腐(ホンサオトウフー、hong2shao1dou4fu3) ...中国福建
红烧は日本の文字で「紅焼」、赤く仕上げる料理のことを指します。内陸は沿岸部よりも豆腐が好まれる食材のようで、写真は豆腐を「茄汁」(チエズー、qie3zhi1、トマトソース)で赤くした肉豆腐炒めです。ネギと豚肉を油で炒めて豆腐と茄汁を加えただけなのに、食べ終わった後のお皿には油が残り赤い色が残らなかった。赤い色を全て豆腐に移し込む技法の巧みさに感嘆しました。
酸菜肉汤(スアンツァイロウタン、suan1cai4rou4tang1) ...中国福建
漬物(酸菜)と豚肉が入ったスープです。中国の「汤」は塩分が薄いものが多く、まるで、少し具の味がするかしないか程度のお湯を飲んでいるみたいです。でもこれは他のおかずと食べるときは非常に具合が宜しいんですね。日本人がイメージできる例えなら「ラーメン屋の炒飯についてくるスープをお湯で3倍量に割った(味を1/3にした)」ような。中国人は減塩上手。見習わねばね。
土笋冻(トウスントン、tu3sun3dong4) ...中国福建
文字面は「土の筍の冷凍」ですけど、実態と全然違って驚きます。これは星口動物というさしずめ「海の中のミミズ」。これを蒸すとゼラチン質が出てきてこういった寄せ物が出来上がるのだそうです。これが大人気の福建小吃(ふっけんしょうきつ、フージェンシャオツー)となっていまして、にんにく醤油をかけるなどしていただきます。貝の煮凝りを食べているみたい。美味しい~。
茶(チャー、cha2) ...中国福建
中国で最も「工夫(クンフー)茶」が発達した福建省。蓋つきの茶碗に茶葉をたっぷり入れ、湯を注し、一煎目を捨て、湯を注し、小さな茶器に注ぎ分けて客に提供します。細かな技法と作法の下で戴く福建省の茶は中国で一番美味しい茶の1つだと思います。代表的な茶葉は乌龙茶(ウーロンチャ)系で、その5%を占める铁观音(てつかんのん、ティエグアンイン)も知名度があります。
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