扬州炒饭(ヤンツーチャオファン、yang2zhou1chao3fan4) ...中国江蘇
中国では、「天津飯は天津市にあらず、福建炒飯は福建省にあらず、海南鶏飯は海南島にあらず」といったように、「地域名がつく料理はそこにはない」という事態に頻繁に遭遇します。しかし楊州炒飯(日本語ではヨウシュウチャーハンで良い)は揚州にある!!そこがまず嬉しいですね。普通に肉野菜卵などを具にした、日本人が日頃食べ慣れているようなチャーハンです。
水晶肴肉(シュイチンヤオルー、shui3jing1yao2rou4) ...中国江蘇
豚足を硝水(硝酸Kまたは硝酸Na溶液)で処理して出来る美しいゼラチン寄せのようなハムが、今から300年も前に偶然に出来上がりました。その水晶のような美貌をもつ珍味は、以降江蘇省の名菜として名を馳せることになります。豚の皮も白く柔らかくなっていて、絶品です。スライスし、黒酢につけていただきます。別名水晶肴蹄(シュイチンヤオティー、shui3jing1yao2ti2)。
扬州狮子头(ヤンツースーツートウ、yang2zhou1shi1zi3tou2) ...中国江蘇
江蘇省の「三大頭料理」の1つ、狮子头。狮子=獅子=ライオン、头=頭。鍋の中にライオンの頭がある、という意味の、江蘇省は揚州市の伝統料理です。豚ひき肉の大きな大きな、ふわふわに柔らかい肉団子を作って土鍋の中で美味しいスープと共に炊いたものです。江蘇料理はまたスープの旨みに秀でており、実に美味しい料理です。
红扒鲢鱼头(ホンパーレンユータオ、hong2ba1lian2yu2tou2) ...中国江蘇
江蘇省の「三大頭料理」の1つ、鲢鱼头。日本名ではハクレンやレンギョと呼ばれる魚の上半身を2つ使った豪快料理。ねぎや生姜、唐辛子などの香味野菜と海鮮醤油(海の幸の旨みがある醤油)で煮絡めて、豆腐も入れて、仕上げに香菜(シャンツァイ)を乗せたもの。白身魚と海鮮醤油の組合せが美味しい~。写真では2つの頭が左を向いているのが分かりますか?
扬州煮干丝(ヤンズーツーガンスー、yang2zhou1zhu3gan1si1) ...中国江蘇
揚州では煮干料理が名物と聞いて、「に・ぼ・し」と思って探し当てたら、なんと!「豆腐を細長く切ったもの」が登場! 「丝」(細長い物)を重んじる江蘇省料理らしい、豆腐干(とうふがん、水分の少ない硬い豆腐)を細長く切って麺のようにした一品です。その他中国ハムなどの具も千切りになってスープに入っている、ともあれユニークな料理です。
肥肠砂煲(フェイチャンサーグオ、fei2chang2sha1guo1) ...中国江蘇
肥肠=大腸のモツ、砂煲=土鍋または鉄鍋。江蘇省では土鍋仕立ての料理が多く、熱い物を長く熱く食べられる点が嬉しいです。江蘇料理はしょっぱくなく、辛くなく、油っこくないものが多く、こういう醤油が利いたように見える料理も結構あっさり食べられます。写真は、粉丝(フンスー、太い春雨)、きのこ、昆布、もやし、豆腐干(水分が少なく硬い豆腐)などが入っています。
汤包(タンバオ、tang1bao1) ...中国江蘇
この溢れる肉汁こそ日本人の思い描く小龍包(ショーロンポー)!! でも小龍包(小笼包、江蘇省発祥)は「小さい肉包み」を意味するだけで、普通は肉汁が溢れ出るようなことはありません。肉汁を楽しみたい場合は「小笼汤包(ショーロンタンバオ)」や「汤包(タンバオ)」のように「汤(湯)」の字を目安に注文して下さい。
鸡丁烧卖(チーディンシャオマイ、ji1ding1shao1mai4) ...中国江蘇
鸡=鶏肉、丁=細かく切る。烧卖=花の形に包んで蒸す。日本ではシューマイとして知られている料理は、中国国内では内蒙古自治区の発祥とされますが、そこにもち米を合わせるのは江蘇省、浙江省(≫
こちら)、上海(どれも位置的に近い)では定番。鶏肉入りで、皮がもちもちしながら薄くて、具のもち米には砂糖や醤油の味がほんのりついていて柔らかくて、美味しかったです。
鸭血粉丝(ヤーシュエフンスー、ya1xie3fen3si1) ...中国江蘇
清の時代から江蘇省では「丝」(スー、細長いもの)を珍重していました。それだからかここには「粉丝」(フンスー)という太い春雨を使った料理が多いと思います。そしてもう1点、江蘇省では鴨(家鴨)を使った料理が多いのも特徴。鴨(家鴨)を絞めるときに発生する血液をプリン状に固めた「血のプリン」が美味しいです。写真は太い春雨と野菜、きのこ、血のプリンが入ったあっさり汁。
红烧鸡块(ホンサオチークアイ、hong2shao1ji1kuai4) ...中国江蘇
江蘇料理は鶏や鴨(家鴨)の料理が多い。写真は鶏の骨付き部位をぶつ切りにし、海鮮醤油(海の幸の旨みが美味しい)と唐辛子少しでざっと炒め絡めたものです。色が濃くても、日本の醤油のような塩分の多い調味料を使っていないので、とても食べやすい。生姜少々が入っていてもにんにくが入っていないのが、にんにくに旨みを頼らない江蘇料理らしいなと思いました。
韭菜炒蛋(チュウツァイチャオタン、jiu3cai4chao3dan4) ...中国江蘇
おおっ!ニラタマ登場だ!! 鴨肉(家鴨)や鶏肉料理が多い江蘇省では、卵料理も多くて然るべきで、また江蘇省でニラといえばもてなしの席の料理にも使われていた野菜とのこと。江蘇省の料理はスープの旨みが特徴的で、こういうシンプルなニラタマも、にんにくが入っていなくても実に旨い。ごはんととってもよく合います。見た目の美しさも、流石です。
豆瓣苋菜(トウパンシャンツァイ、dou4ban4xian4cai4) ...中国江蘇
苋菜(シャンツァイ)は、緑と赤紫の両方の色をもつ野菜で、美味しいスープとの相性が良いとされています。江蘇省の料理はスープの旨みを活用することを得意とし、また見た目も重んじます。たかが青菜の炒め物が実に美味しく、また赤いスープが目にも美しい。そしてソラマメとのコンビネーションで見事に口当たりの完成度を高めています。
黄酒(ホアンジウ、huang2jiu3) ...中国江蘇
江蘇省は隣接する浙江省と食文化が類似していて、「中国八大料理」という区分上は「蘇菜」と「浙菜」を分けますが、実質大きな違いが見受けられず、しばしば「江浙菜」としてまとめて語られます。どちらの省も黄酒の名産地。日本ではお隣浙江省の紹興酒(≫
こちら)が有名ですが、こくと旨みのあるこの手の酒は、江蘇省でも特産品の1つであります。
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