毛氏红烧肉(マオシホンシャオロー、mao2shi4hong2shao1rou4) ...中国湖南
湖南省は毛沢東の生まれ故郷で、その毛氏が愛した豚の角煮が、毛氏紅焼肉です。当然これは湖南料理の代表格。見事なまでに赤いです(お店によっては赤くないものもある)。辛さで有名な湖南料理でも、この角煮は辛くない。ほのかな甘味と醤油で柔らかく煮込まれた、優しい味の料理なのです。
黄焖鱼子鱼泡火锅(ホワンムンユーズーユーパオフォーグオ、huang2men4yu2zi3yu2pao4huo3guo1) ...中国湖南
四川省の火鍋は仕切り鍋に赤(激辛)と白の2色スープを入れて様々な具をしゃぶしゃぶにするものですが、お隣の湖南省では、厨房で調理人が調理を仕上げた火鍋が多く見られます。写真は湖南省長沙名物の、魚肉以外の珍味部分がどっさり黄酒と唐辛子で煮込まれた火鍋。魚泡(ユーパオ、魚の浮き袋)という高級食材や魚子(ユーズー、魚卵)がどっさり入っていて、美食の極み!
酸豆角肉泥(スアントウジョローニー、suan1dou4jiao3rou4ni2) ...中国湖南
発酵食品の技が随所に光る湖南料理。湖南省に行ったら「酸豆角」料理を食べてほしい。これはササゲ/インゲンの漬物のことで、それを豚ひき肉や唐辛子、にんにくと共に炒めました。めっっちゃくちゃ美味しいです。ほんのり酸っぱいインゲンと豚肉唐辛子等のコンビネーションが完璧なんです。家庭でもよく作られるそうです。日本でも作らねば。
臭豆腐(チョウドウフー、chou4dou4fu3) ...中国湖南
ずばり「臭い豆腐」、湖南省発祥とされ、今や台湾や香港も含めチャイナ全土に広まる珍味。匂いはネコ糞に似ていてかなり臭いです。辛い料理で有名な湖南省では、この臭豆腐を1cm暑さの素上げにして、ラー油や酢のタレで仕上げていました。匂いがまぎれるし、味もこのほうが美味しいな。
酸笋腊肉炒饭(サンスンラーロウチャオファン、suan1sun3la4rou4chao3fan4) ...中国湖南
海をもたない湖南省では、淡水魚と共に、野の幸陸の幸が豊富です。酸笋は文字通り筍の漬物、腊肉は豚の足をいぶして干した中国伝統ベーコン。湖南省出身の方に「いつか湖南に行きます」と伝えたら「腊肉食べてきて」と言われるほど、郷土料理の代表格なのでしょう。今回はそういう湖南の野の幸を豊富に使ったチャーハンをいただきました。
酸菜鱼(スアンツァイユー、suan1cai4yu2) ...中国湖南
酸菜鱼は、四川省や湖南省の代表的な名物料理です。酸菜、すなわち高菜や白菜のような野菜の漬物(湯漬け、野菜に山椒や塩を加えた熱湯をかけて数日漬けたもの)を、酸味と旨みある発酵調味料として使い、ダイナミックな魚スープを作ります。そこに唐辛子たっぷりの赤い油を加えます。心地よい酸味と風味良い唐辛子炒めが、中国料理の真髄に迫りました。
剁辣椒蒸鱼(トアラージャオジェンユー、duo4la4jiao1zheng1yu2) ...中国湖南
湖南料理の味のキーポイントになるのが、剁辣椒(トアラージャオ)という唐辛子の発酵漬物です。これは辛味が一層の旨みに変化した中国人の技。写真は魚の切り身を器に入れ、香菜ねぎ生姜を乗せ、その剁辣椒を乗せて15分蒸すのです。魚の蒸し物は淡水魚の料理に長ける湖南料理の代表格。それが、剁辣椒の旨みで実に美味となっています。
干煎翘鱼(カンジェンチャオユー、gan4jian1qiao3yu2) ...中国湖南
湖南省はその字の通り、湖や川が豊富にあります。だから海に面していなくても、魚料理が豊富です。これは翘鱼(レンギョ)を開いて中華鍋でから揚げにし、上には赤唐辛子の油炒めをどっさりふりかけました。辛い料理が特徴の湖南料理らしい味付けです。でも日本の唐辛子ほど辛くないので、むしろその風味を楽しむのです。
杂粮包(ザーリャンバオ、za2liang2bao1) ...中国湖南
杂はいろいろなものが混ざること、粮は食糧。写真では山菜を薄味で炊いたものが登場。それを茶色い肉まんの皮のようなもののくぼみに入れて食べ、滋味を味わいます。湖南省は海に面しておらず、こういう野の幸も上手に食べられています。
碧玉双脆(ピーユーシュアンツイ、bi4yu4shuang1cui4) ...中国湖南
碧玉は水晶系の宝石の1つで、高級食材を表します。双脆は、2つの食材がともに歯ごたえが良いことを表します。今回は干した莴笋(ウォスン、日本名でチシャトウ)という筍のような食感の食材と豚の耳のスライスを用い、ピーマンや赤唐辛子と共に少し甘い味付けで調理しました。コリコリ、美味しい。
铁板土豆(ティエバントウトウ、tie3ban3tu3do4u) ...中国湖南
これは文字通りのじゃがいも(土豆)の鉄板焼き。ししとうのようなピーマンの輪切りや唐辛子と旨み豊かに炒められています。海を持たず、山陸の幸に富む湖南省らしい、素朴かつ極上の旨みをもつ一品です。
农家肉片(ノンジャーロウピェン、nong2jia1rou4pian4) ...中国湖南
湖南省料理(湘菜)を代表する一品、肉野菜炒めです。写真は、豚肉薄切り、にんにくスライス、赤唐辛子(これが湖南料理を象徴)、ピーマンなどなどの炒め物です。湖南省料理を標榜する高級料理店でも提供される、代表的な湖南料理です。
爆炒猪肝(バオチャオチューガン、bao4chao3zhu1gan1) ...中国湖南
毎度通っていた湖南料理の庶民的食堂の調理人が「湘菜(湖南料理)食べるならこれだべ」と言って率先して作ってくれた料理がこれ! 豚レバーは塊で予めゆでてあるので薄いスライスにできます。そして唐辛子ぶつ切りたっぷり、マスタードの粒やにんにくねぎ生姜と共に香りよく炒めた、湖南料理の真髄を感じさせてくれる見事な一品でした。
烟笋炒肉(イェンスンチャオロー、yan1sun3chao3rou4) ...中国湖南
烟=煙、笋=筍。つまり、烟笋(イェンスン)はいぶして干した筍のことで、海をもたず山陸の幸に富む湖南省らしさを表す食材の1つです。水で戻した烟笋と豚肉を油、塩、唐辛子で炒めただけのお料理なのに、干した筍の美味しさが極上で、できることならもう一度食べたいと願うばかりです。湖南省出身のおばあちゃんの手作りのおかず。ありがとうございました。
鸭肫凉面(ヤートゥンリャンミェン、ya1zhun1liang2mian4) ...中国湖南
湖南省の料理には、燻製の鴨肉(中国料理名での鴨は日本語の家鴨(アヒル)に相当する)を用いるものがたくさんあります。写真は小麦麺をゆでて鴨の砂肝煮(鸭肫)と和えた、夏に嬉しい冷たい麺料理です。写真に写っている醋(ツー、酢)と辣椒(ラージャオ、ラー油)を絡めていただきます。
牛肉米粉(ニュールーミーフン、niu2rou4mi3fen3) ...中国湖南
北方/西方から湖南省を経て広東省の方へ移動すると、湖南省あたりから米食文化が本格的に復活し、広東省へと続く流れを実感しました。米粉でできた麺はのどごしも口当たりもつるんとして美味。写真は红烧牛肉(ホンサオニュールー、牛肉醤油煮)や剁椒生姜(トアジャオシンジャン、唐辛子の漬物と生姜和え)、剁椒豆角(トアジャオトウジャオ、唐辛子の漬物とインゲン和え)乗せ。
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